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食品サンプル最大手、首都圏で積極出店 日本で独自に発展、訪日客に人気

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食品サンプル最大手、首都圏で積極出店 日本で独自に発展、訪日客に人気

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食品サンプル製作を体験する修学旅行の女子高生=東京都台東区の岩崎の合羽橋ショールーム  食品サンプルメーカー最大手の岩崎は、観光客などを対象にサンプルの製作体験やグッズ販売などの店舗を、首都圏を中心に積極出店し、毎年20%の増収を目指す。2020年の東京五輪で訪日客の増加が見込まれるのを機に、日本で独自に発展した食品サンプルを広く世界にアピールし、自社のブランドを強化する考えだ。

 食品サンプルは、飲食店の店頭に陳列されている料理を再現した模型。大正時代に登場したとされる。岩崎は1932年、岩崎瀧三氏が大阪市で岩崎製作所として創業。52年には東京にも進出している。今では日本だけでなく、韓国、中国、東南アジアでも定着している。

 食品サンプルは、フォークの持ち上がったスパゲティナポリタンのような、現実ではあり得ない大胆で繊細な表現力が、見る者に驚きや楽しさを感じさせる美術品のような要素を持っている。

 岩崎毅社長は「飲食業者向けの商品だったが、広く一般消費者向けにも魅力をアピールしたい」と、サンプルの製作体験やグッズ販売を手掛ける事業「元祖食品サンプル屋」を2010年に発足させた。

 飲食業関係者向けの食器や調理器具などの業務用資材の問屋が並ぶ東京都台東区のかっぱ橋道具街にある同社の合羽橋ショールームで、元祖食品サンプル屋は本格始動した。店舗では食品サンプルをあしらったにぎりずしのマグネット、生ハムのブックマーク、ミカンやレンコンのペン立てなど遊び心に満ちたグッズを購入することができる。さらに国内外の観光客を引きつけるため、新名所の東京スカイツリータウンと千葉市の幕張新都心のショッピングモールにも出店し、現在合計3店舗となっている。

 合羽橋ショールームは、東京の観光名所である浅草から徒歩約10分の立地条件のため、修学旅行生や外国人観光客なども大勢訪れている。事前に予約をすれば誰でも、ろうを使った天ぷらやレタスのサンプル作りに挑戦できる。

 食品サンプルの製作体験とグッズ販売を中心とした元祖食品サンプル屋の事業は、11年度の本格的始動以降、順調に伸び続け、13年度の売上高は当初の約7倍に急成長。全社的な売上高のうち約10%を占めるようになった。

 岩崎社長は「食品サンプルの精巧な表現力は、驚きや楽しさを感じさせる付加価値を持っている。日本発祥の文化として世界の人に発信したい」と意気込んでいる。(佐竹一秀)

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【会社概要】岩崎

 ▽本社=東京都大田区西蒲田8-1-11

 ▽設立=1975年11月

 ▽資本金=9500万円

 ▽従業員=350人(2014年11月末時点)

 ▽事業内容=食品サンプルの製造・販売・貸し付けなど

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