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通信費節約のキーワードは「まとめる」 ドコモ光パック、予約受け付けスタート
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NTTドコモが予約受け付けをスタートした「ドコモ光パック」。NTT東日本と西日本が卸売した光回線を利用した携帯・固定電話の「セット割」だが、3月1日の提供開始を前にサービス内容をまとめてみた。どこまでお得になるのだろうか。
NTT東西が提供していたフレッツ光の契約者数は全国約1900万世帯で、家庭用光回線の契約全体の約7割に上る。それだけに光回線卸売スタートに対する反響は大きく、ドコモ以外にも多くの事業者が新たに光回線を利用したサービス提供に参入する。
キャリアの契約シェアから想定すると、フレッツ光契約者のうち45%にあたる約855万世帯がドコモを1回線以上保有。ドコモ光パックを使えば、ほとんどのケースでこれまで別々に支払ってきた携帯電話、固定回線、ISP(インターネット接続サービス)への支出額合計は安くなる。フレッツ光からドコモ光に乗り換える場合、契約内容の変更手続きだけで解約金なしで申し込みできる「転用制度」もある。
ICT総研の今年1月の調査によると、約6割のうち乗り換え先として考えているのは、ドコモ光が26.1%、auスマートバリューが15.4%、ソフトバンクが7.8%と結果をみるとドコモ光への期待が一番高いことが分かった。「乗り換えてまでセット割引を利用したいとは思わない」と回答した人は40.5%。
一方、総務省の家計調査では、ガラケーとスマホを合わせた2013年の携帯電話の通信費は前年比2%増の全世帯平均8万3099円。10年前の1.4倍に膨らんでいる。固定電話の通信費が減少しているとはいえ、通信費総額は月1万円を超える年12万3596円と過去最高を更新した。通信費を抑えたい傾向は強く、調査では「ここ数年で費用が増えたと感じているもの」として「携帯電話・スマホなどの通信費」を挙げた人が59.0%で1位、「節約したいもの」として挙げたのは56.3%で2位だった。
ドコモの加藤薫社長は1月29日のドコモ光の記者発表で「移動・固定通信、ブロードバンド環境のワンストップ化。携帯、光通信、ISP、サービスの4つをお得な料金で提供できるものと考えています」などとサービス導入の意義を挙げた。
通信費節約のキーワードは「まとめる」。たとえばインターネットの使用料はNTT東西、携帯電話はドコモなどそれぞれの別々に支払っていたものをひとつの会社にまとめることで安くなる「セット割」が用意されたからだ。ドコモが昨秋からスタートした新料金プランも合わせれば家族でパケットを「まとめる」ことで携帯の通信料がさらに得するプランや割引もある。
フレッツ光からドコモ光に転用するだけでISPと光回線の料金が圧縮。さらにドコモ光パックにして携帯も「まとめる」ことで最大で月3200円が割引される。ほかのキャリアのセット割は3年目以降に割引が減額されるのに対し、ドコモは永年続くので長い期間で利用するなら得になるだろう。長年使っているユーザーに付与される「ずっとドコモ割」も加算され最大で月2000円の割引もあり、ここまでで6000円程度の割引が予想される。
さらにスマホを新規で買った場合は「光★スマホ割」として料金が最大1年間で月1350円割引、25歳以下なら月500円の割引にボーナスパケットとして1GBが付いてくる。
通信に限らずインフラの変更には煩雑な手続きが付きものだが、ドコモ光パックはプロバイダー事業者19社を対応ISPとしたことで、手続きの簡略化が見込めるという。現在使用している事業者を選べばメールアドレスが変更されることもない。何よりこれまで携帯、固定、ネットとトラブルごとに別々だった問い合わせ先が「ワンストップ化」されドコモ1カ所になることは大きい。
ドコモには遠隔操作によるリモートサービスや訪問サービス、全国約2400店舗あるドコモショップでのサポートも行っており、最大手として既に安心して利用できる下地が整っている。セット割の際にひかり電話契約が不要なのに対してauとソフトバンクは必須であったり、ドコモ光の利用でも「ドコモポイント」が貯まるなど細かいメリットを挙げていけば枚挙にいとまがないだろう。
最後に紹介したいのは加藤社長がドコモ光の意義として記者会見で挙げた「スマートなホームのサービスを実現し、充実していきたい」という発言だ。
ワンストップ化による安定・充実した通信環境の提供で、スマホやタブレットをテレビなどと連携させたエンターテインメント、留守宅の映像確認などに生かしたホームセキュリティーなど近い将来実現させるイエナカサービスを享受してもらおうとの意思がうかがえる。割引も魅力だが長期にわたる契約が多い光回線では、安さだけに飛び付かずに将来を見据えた選択も大切だといえそうだ。