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偏った再生エネのバランス是正 太陽光買い取り額引き下げ、国民負担も軽減へ
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約29万枚の太陽光パネルが並ぶ日本最大級の鹿児島七ツ島メガソーラー発電所=鹿児島市 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が見直され、太陽光発電の買い取り価格が3年連続で引き下げられることになった。
太陽光の急増に一定の歯止めがかかり、偏った再生エネのバランスが是正され、大手電力各社は受け入れに必要な設備調整をスムーズに行うことができるようになる。再生エネの買い取り費用は企業や家庭が払う電気料金に上乗せされるため、太陽光の価格引き下げは国民の負担軽減につながりそうだ。
太陽光は、ほかの再生エネに比べて買い取り価格が割高に設定されたため、企業向けを中心に導入が集中。政府が認定した再生エネ設備の9割以上を占める。
大手電力は、天候によって出力が変動する太陽光を受け入れるため、火力発電の出力を減らしたり、送電線で他地域と電気をやりとりしたりする対策が必要となる。
しかし太陽光が増えすぎ、九州電力など5社は昨年、設備の調整能力が不足しているとして再生エネの新たな買い取りを一時保留する事態を招いた。
このため政府は今年1月、電力供給が需要を上回る恐れが生じた際に、太陽光の発電事業者に対し無制限に出力抑制を強制できる新ルールを策定した。
経済産業省によると、再生エネの導入に伴い、電気料金に上乗せされる賦課金の総額は2012年度は約1900億円だったが、太陽光の急増の影響で14年度は6500億円に増える見込み。毎月の電気料金が7000円程度の標準家庭の場合、上乗せ額は年間2700円となる。
太陽光の普及ペースが鈍化しても、再生エネ全体の導入が進めば、国民の負担は増えることに変わりはなく、政府は今後も慎重な判断が求められそうだ。