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【浜松物語】(3)鈴木修スズキ会長兼社長 「一寸先は闇。失敗いっぱいある。2勝8敗か」

ニュースカテゴリ:企業の自動車

【浜松物語】(3)鈴木修スズキ会長兼社長 「一寸先は闇。失敗いっぱいある。2勝8敗か」

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2000年9月、GMとの提携強化を発表した鈴木修氏(左)だが、GMの業績悪化などもあって08年11月に資本提携を解消した  --発明家や創業者を輩出してきた浜松で、創業者から2代目以降が会社を継承して大きくすることは大変だ

 「俺は4代目だけどね。企業も政治家も3代目で駄目になるケースが多い。大過なくやれば大きくなるんじゃないのかな」

 --海外進出ではリスクを取っている

 「失敗もいっぱいあるよ。表には出てないけどいっぱいありますよ、失敗は。成功した額が失敗の額より大きかったのか、失敗の数が多いか、成功の数が多いか。あるいはそれによってトータルすると成功が多かったということでしょうね。

 --何勝何敗ぐらいになるのか

 「2勝8敗ぐらい。成功ばっかするなら世の中簡単です。成功なんて運ですよ。万が一成功するっていうことで、いっぱい失敗はありますから。だけど、運のない人はなかなか成功しないということもありますよね」

 --2勝の成果がものすごい大きい

 「アメリカは大きいことはいいことだっていうことで、1000cc作ったけど全然小さい車は駄目でしたね。いい勉強になりましたよ」

 「アメリカに行ったっていうこと自体は成功だった。だけど、撤退せざるを得なかった。これは1勝1敗ですよね。だけれども、タイミングよく撤退できたという、その踏ん切りが大事だ。アメリカの撤退がうちは早かったからね」

 「アメリカの撤退は輸出でもうけたやつで埋め合わせたっていうね。だから、アメリカの撤退に伴う損失がもう100億なり200億なり500億円なりあったとすると、成功部分がなかったらそのまま100億でも200億でも500億でも赤字になるからね」

 --合併や経営統合を考えたことは

 「もう、一生懸命考えましたよ。一生懸命考えたけど拾ってくれるところがなかったということ」

 --現在は米ゼネラル・モーターズ(GM)との資本提携を解消しているが、1981年に資本提携したとき、記者会見で「スズキは蚊だ」という“名言”があった

 「新聞記者はGMがクジラで、スズキはメダカだと言ったんだよね、初めは。メダカだと食われる。パクッとやられかかったら、蚊だと飛んで逃げられるから、『蚊だ』って言ったんだ」

 --規模の利益にはこだわらないのか

 「いや、自動車産業っていうのはトヨタさんの10分の1、20分の1で済むかって分かりませんよね。もう考えたか考えないかなんて問題じゃなしに、一寸先は闇だから。どういう対応を迫られるかは常に考えておかないといかんってことですね」

 --「1年ひと昔だ」という名言もある

 「1年ひと昔って言うよりも1カ月ひと昔かな。いや、1時間でひと昔だわな」(聞き手は産経新聞特別記者田村秀男)

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