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東芝、サムスン上回る「48層タイプ」実現 3次元半導体で新技術
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東芝がスマートフォンなどに使われる記憶用半導体のうち「3次元タイプ」のNAND型フラッシュメモリーで、韓国のサムスン電子を上回る製造技術を開発したことが24日、わかった。3次元メモリーは記憶素子を垂直に重ねて記憶容量を増やす技術。サムスンが量産化した32層に対し、東芝は新たに48層タイプを開発した。スマホなどに保存できるデータの一層の大容量化に道を開くことになる。近くサンプルを出荷し、今年後半にも量産を開始する。
記憶用半導体は従来、記憶素子を平面に並べ、回路線幅を縮めて容量を拡大する微細化技術が主流だった。東芝は世界最小の回路線幅15ナノ(ナノは10億分の1)メートルの量産を行い、サムスンを一歩リードしている。ただ、微細化は限界に来ており、各社とも積層タイプの3次元メモリーの開発に力を入れている。
3次元メモリーは記憶素子を積むほど、容量が大きくなる利点がある。だが、工程数が増え、製造コストがかかるのが大きな課題となっていた。
昨年から量産を開始しているサムスンも不良品率が高く、採算面で厳しいとの指摘もある。東芝も開発過程で同様の課題を抱えていたが、生産技術で一定のめどが立ち、サンプル出荷を決めた。
東芝は、四日市工場(三重県四日市市)の第2棟の建て替え工事が今夏に一部完成する見通し。今年後半からその新第2棟で、3次元メモリーの量産を順次始める予定だ。
世界の記憶装置市場は、スマホの普及やインターネット上の膨大な情報「ビッグデータ」の活用拡大などにより、「2020年に現在の10倍に膨らむ」(東芝の田中久雄社長)見通し。データセンター向けの記憶装置需要も高まるとみられ、3次元メモリーへの期待が高まっている。
東芝やサムスンは数年以内に容量1テラ(テラは1兆)バイトの3次元メモリーの開発を目指している。実現すれば、フルハイビジョンの4倍の解像度の持つ高画質動画をスマホに数十時間分を保存できるという。
東芝は当面コスト競争力のある微細化を主力としつつ、3次元メモリーの生産技術も高め、サムスンとの競争を優位に進めたい考えだ。