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ソニー、部品やゲームなど4事業に投資集中へ 「音響機器」はテレビに続いて10月分社化
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2015~17年度の中期経営計画を発表したソニーの平井一夫社長=18日、東京都港区のソニー本社 ソニーの平井一夫社長は18日、東京都港区の本社で経営方針説明会を開き、最終年度に20年ぶりの水準となる営業利益「5000億円以上」を目標とする2015~17年度の中期経営計画を発表した。資本をどれだけ効率的に使っているかを示す株主資本利益率(ROE)は「10%以上」を目指し、利益重視の姿勢を強調。事業部門は原則、分社化して独立採算を強める方針も明らかにした。テレビや音響機器などの代表的な家電に代わり、外販が中心の画像センサーやゲーム、映画、音楽事業を牽引(けんいん)役に、会社を成長軌道に戻したい考えだ。
平井社長が説明会で繰り返したソニーの将来像は「高収益企業」だ。今月、14年度の営業損益見通しを赤字から黒字に転換したとはいえ、水準は200億円に過ぎない。売上高8兆円に対する営業利益率はわずか0.25%。こうした状況から、早期に脱したい思いをにじませた。
ただ、5000億円は最高益だった1997年度の5300億円以来の水準で、ハードルは高い。達成に向け平井社長は、ソニーが競争力を持つ分野に投資を集中させる方針を示した。具体的には、スマートフォン向け画像センサーの販売が好調な「デバイス」、据え置き型ゲーム機のプレイステーション4が人気の「ゲーム」、「映画」「音楽」の4事業だ。デバイスについてはすでに、15年度に1050億円を投資し、画像センサーを増産する方針を打ち出している。
一方で、「ウォークマン」といった音響機器などからなる「ビデオ&サウンド事業」は「安定収益領域」として、大規模な投資は行わないと表明。同事業は今年10月をめどに分社化させ、傘下に置く。「各事業の責任者が最適なコスト構造への転換を進め、結果責任を明確化する」(平井社長)という狙いだ。さらに、昨年7月に分社化したテレビ事業や、構造改革の対象となったスマホ事業は、リスクの低減を最優先する領域に位置づけた。ここ数年、赤字事業が足を引っ張り、連結でみた利益水準が低くなっていたことに対応する。分社化後は堅調なテレビだが、平井社長は将来的な売却についても「一切考えないということではない」と含みを持たせた。
また、構造改革を主導した吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)が4月1日付で副社長を兼務するなどの人事も発表。目標達成に向け、体制の変革を打ち出した平井社長だが、利益を重視した効率化と、ソニーの掲げる「感動」を顧客に与える商品力強化は相反する懸念もあり、両立に向けて難しいかじ取りを迫られる。
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(事業分野/目指す方針/投資/売上高)
画像センサー、ゲーム、映画、音楽/成長を牽引/増加/増加
デジタルカメラ、オーディオ/安定収益を確保/微減/横ばい
スマートフォン、テレビ/リスクを抑制/減少/減少