SankeiBiz for mobile

関電の止まらない“地盤沈下” ライバル包囲網、変化に対して腰重く

ニュースカテゴリ:企業のサービス

関電の止まらない“地盤沈下” ライバル包囲網、変化に対して腰重く

更新

電気料金の再値上げについて記者会見する関西電力の八木誠社長(中央)=大阪市北区(寺口純平撮影)  4年連続の赤字、給料カット、社会の批判を浴びながらの料金再値上げ-と悪いことばかりが続く関西電力。財界、業界団体での地位も低下しつつある。

 顧問去る

 関電の顧問7人のうち秋山喜久氏ら4人が、現経営陣から退任を求められ受け入れた。料金を再値上げするのに居座り続けることへの批判が強まる中でも「自ら辞めると言わない限り、退任はない」(関係者)とみられていたが、ようやく折れた格好だ。

 すでに社員の給与や役員の報酬を削減している関電が顧問退任を後回しにしたのは、遠慮があったようにみえる。会長や社長を務めた顧問は、関西財界の重鎮である。代々、関西経済連合会会長など財界の要職に就き、さまざまな規制をめぐる政官界との調整役としても働いてきた。

 ただ、存在感が大きいだけに批判も強かった。例えば秋山氏。かつて大阪証券取引所(現大阪取引所)の社長を務めた故・巽悟朗氏は、ここでは書けないような言葉で秋山氏をののしったことがある。巽氏は関西経済のためにと大証改革、新興市場開設などで汗をかいたが、秋山氏は巽氏からみれば非協力的だった。

 結局、新興市場は失敗に終わり、関西経済の地盤沈下には歯止めがかからなかった。巽氏の読みは外れた部分もあったが、秋山氏がそれを見通していたとしても関西経済界の重鎮として冷ややかすぎるのではないかとの批判もあった。

 今回、秋山氏らが自ら退任を申し出たという話は公には伝わってこない。「最後まで地位にしがみついたのか」と周囲を落胆させ、批判的な見方を呼び覚ましている。

 重い腰

 関電は、関西で最も格の高い企業の一つだが、経営や商品・サービス開発などで際だって先進的なところがあったわけではない。関電など大手電力会社の力の源泉は、税金並みに確実に徴収できる電気料金に裏付けられた安定的な経営基盤と、事業発注主としての規模の大きさにある。

 発電所の建設だけでなく定期検査などで周期的に大規模な外部発注をしている。また、ある電力会社の首脳は「作業服などは、部署ごとに同じものをばらばらに発注し、ほとんど言い値で買ってきた」と明かす。他方で官僚の天下りを受け入れ、政治への支援も怠らなかった。

 ただ、原発事故と電力自由化でそうはいかなくなり、変化を求められている。そうした中、東京電力は通信事業者やポイントカード運営会社との提携に乗り出すなど、かつての電力会社らしくないフットワークの良さをみせる。

 しかし、関電の腰は重い。再値上げや原発再稼働など許認可手続きに追われ、積極策を打ち出す余裕がないのか。あるいは、許認可さえ得られれば安定を取り戻せる、と考えているのか。

 火の車に包囲網

 関電の八木誠社長は、東電福島第1原発事故後の平成23年4月に電気事業連合会会長に就いてから4年が経過。近く会長を降りるのではないかとささやかれている。これまで電事連会長は2、3年程度で交代することが多かったからだが、関電の経営は今、火の車になっていることも見逃せない。

 27年3月期に1438億円の最終赤字を計上。28年3月期も赤字になる可能性は高い。そうなれば5期連続の赤字で、債務超過に陥る恐れもある。電事連のために東京にスタッフを多数派遣し、ロビー活動に精を出している場合ではない。

 次期会長は誰か。東電の広瀬直己社長は原発事故収束と避難者への賠償問題を抱えていることから、中部電力の勝野哲・次期社長(現副社長)を有力視する声がある。社長就任とほぼ同時期に電事連会長職を引き受けるかどうかは微妙だが、原発への依存が比較的少なかった中部電は、関電よりは余裕がある。

 中部電は東電と火力発電分野で包括提携するなど事業の強化も着々と進め、東電は大口顧客向けの電力販売で関西に攻め込んできた。関電にとっては包囲網ともいえる状況ができつつある。関電の存在感は業界でも地盤・関西でも小さくなっていきそうだ。

ランキング