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東芝、新体制の人選は難航必至 イメージ回復へ「特効薬」なし
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東芝本社が入るビル=東京都港区 利益水増し問題により、取締役16人の半数に当たる8人が辞任するという異例の事態に陥った東芝。暫定的に社長を兼務する室町正志会長は21日、社外取締役らからなる「経営刷新委員会」を設置する方針を示した。企業統治(コーポレートガバナンス)の強化や新経営陣の人選に乗り出すが、主要役員は軒並み辞任しており、新体制での船出に向け前途は多難だ。
最大の焦点は後任社長人事だ。本来なら候補者として名前が挙がる4人の副社長全員が辞任しており、人選は難航が予想される。
21日の会見では刷新委が、社外取締役を取締役の過半数にすることを含めて取締役会の枠組みについても検討する方針が示された。室町氏は「委員会設置会社として企業統治の仕組みはつくったが、内部統制が不十分だった」と形骸化を認めた。刷新委は新体制のあり方全般に関わることが明確になり、東芝の再生に向けて鍵を握る存在となりそうだ。
巨額の利益水増しという不適切行為の結果、大幅な業績の下方修正が求められる見込みだが、東芝は資産売却の方針を発表。すでに主要な取引行には、2000億円規模で実施すると伝えている。株式や不動産などを売却して財務基盤を強化し、資金繰りに万全を期す考えだ。
連休明け21日午前の東京株式市場では、第三者委員会の報告書が提出されたことを受け、経営立て直しへの期待感から東芝の株価は上昇した。終値は前週末に比べ23円10銭高の399円90銭と、6%高だった。
ただ、取引終了後には米格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が長期会社格付け「BBB」の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更。今後、信用低下による影響が懸念される。
さらに、今回の問題で東芝のブランドイメージは大きく傷ついた。21日の会見で、田中久雄氏は「20万人の従業員が一丸となり、日々の活動を通して全力で取り組む姿をご理解いただくしかない」と述べ、“特効薬”はないとの見方を強調。市場からの期待に応えるには、実行力のある新体制の構築が前提になる。
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第三者委の報告書を読むと、経営トップの経営判断で多くのカンパニーで不正会計が行われたと認定しており、部下が止めるのは事実上不可能だったとなっている。名門企業でもある東芝トップのリテラシーの低さにまず驚かされた。不正会計が違法行為で刑事罰になるという感覚がない。虚偽記載などが行われており、今回の問題は、不適切会計ではなく、明らかに粉飾といえるレベルだ。
報告書では企業統治(コーポレートガバナンス)が機能しておらず、経営トップを是正させるのは不可能だったと結論付けている。財務部門は収益改善の目標数値「チャレンジ」の原案を社長と一緒に作成し、監査部門も社長のコンサルタントになっていた。
財務部門や監査部門は社長をチェックする最後の砦(とりで)なのに、一緒に加担していては不正が横行するのは当然だ。再発防止には、トップのリテラシー教育や本体と各カンパニーの内部監査を一段と強化する必要がある。
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今回の問題は企業統治の問題だが、同じくらい監査法人の問題でもある。第三者委員会の報告書では、(東芝の監査を担当している)新日本監査法人の監査が妥当であったかは判断しておらず、理解に苦しむ。
オリンパスの粉飾決算事件のように、昔の損失を意図的に隠している場合、見つけるのは難しいが、今回は日常的に繰り返されていた問題で、監査法人が何も気づかなかったとは考えにくいからだ。
経営トップに協力したように思われても仕方がなく、新日本は(会計問題が起きた)IHIやオリンパスも担当していたのに、反省が見られない。
利益追求は企業として一般的な行為なのだから、会計問題で最も歯止めになるべきは監査法人だ。
社内の監査委員会はあくまで企業統治の機能の一つで、こうした問題にストップをかけられるとは思えない。