CO2の削減目標維持して原発ゼロには矛盾 日本のエネルギー政策はどうあるべきか
更新--すると、今の日本のエネルギー事情については、どう見ていますか
「化石燃料依存度が高いままでは、将来的な原油の価格上昇や、米国の中東関与の後退に伴う調達不安の心配がありますが、それ以上に今は、原子力をどうしていくかについて冷静に議論し、明確にしていく時期です。18年7月には日米原子力協定の改定が控えています。原子力発電を減らすのと無くすのとは、似て非なる問題であり、はっきりさせていかなくてはいけません。現在の発電燃料に占めるLNG(液化天然ガス)比率は約45%です。LNGは原油に比べて備蓄が少なく、今後備蓄を増やすのがむずかしいということを考えても、不安定な状況にあると言わざるを得ません。1988年に発効した現行協定では、期間満了の6カ月前の18年1月に日本が立場表明を提出し、米国が協定の延長に不同意なら、日本に文書で伝えることになっています。日本のエネルギー政策にとって重要なターニングポイントを目前に控えているわけで、政府は原発政策を明確に決める必要があります」
◇
岐路に立つ原子力政策
--日米原子力協定の行方は、日本の安全保障にも重要な意味があります
「現行協定は、非核保有国の中で日本だけに原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、その保有を認めています。これは極めて大きな既得権です。実際に核を持つことはなくても、世界は日本を潜在的な核保有国とみなし、それが隠れた抑止力になります。しかし、プルトニウムの平和的消費が保有の条件なので、最低でもプルトニウムとウランの混合燃料を既存原発で利用するプルサーマル発電を実行していく必要があります。逆に原発を止めるということになれば、協定の延長はできなくなり、日本は潜在的抑止力を失います。その場合日本は、潜在的抑止力を持たない状態での外交、安全保障政策を構築しなくてはならなくなり、非常に厳しい対応を迫られます。『それでもいいのですか』というところから、原発の是非を考えなければいけないということを、国民は重く受け止めるべきだと思います」
