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高齢者や若者が悪徳商法の食い物に… 2018年の経営問題ニュースを振り返る(後編)

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 西日本豪雨や北海道胆振東部地震など、大規模な自然災害の影響は、時間をかけて広範囲に広がっていく。今後、被災地以外への影響が懸念される。また、どの地域でも消費者に近い業種ほど倒産が増え、消費者の支出抑制の動きが鮮明になっている。

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 こうしたなか、多くのオーナーが被害を受けたシェアハウスのスマートデイズ(4月、負債60億3500万円、東京都、民事再生→破産)、約3万3700人の被害者を生んだ食品通信販売のケフィア事業振興会(9月、負債1001億9400万円、東京都、破産)など、BtoCの大型倒産が世相を反映した。

 一方、水面下では中小企業金融円滑法が終了後も、金融機関がリスケ(返済猶予)要請に弾力的に応じ、国や自治体も各種制度融資を拡充。多元的な経営支援で中小企業の資金繰りを下支えした。

 2019年10月、消費税率が10%に引き上げられる。初めて軽減税率が導入されるが、過去の消費税率引き上げでみる限り、一時的にせよマイナス成長は避けられない。10月に東京商工リサーチが実施した「消費増税に関するアンケート」調査でも、「景気が悪くなる」が約6割に達し、中小企業ほど増税を深刻に受け止めている。消費税率の引き上げと企業倒産の動きをみると、約半年から1年ほどのタイムラグが生じており、注意を怠れない。2018年は様々なリスクが顕在化した。

 こうした企業リスクの克服は容易ではない。企業倒産は低水準だったが、消費者を巻き込んだ大型倒産、事業性評価と金融機関の選別強化を類推させる上場企業の倒産、消費税率引き上げの影響が危惧される小売業、サービス業の苦境。2018年は様々な課題を浮き彫りにした一年だった。2019年はその課題に答えを導き出す一年になりそうだ。

■シェアハウス問題、「人手不足」破綻… 2018年の経営問題ニュースを振り返る(前編) を読む

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