特に今回は快心のレースだったと言えよう。というのも、今年のオーストリアGPは例年にも勝る酷暑に襲われたからだ。体感気温は40℃オーバー、路面温度は触れれば熱く感じるほどの51℃に達した。レーシングマシンは熱に弱い。特に、空気を取り入れてガソリンと混合させる内燃機関は、空気の密度が低くなる高温ではパワーダウンが顕著に表れる。もちろんラジエターでの冷却にも限りがある。ハイブリッドであるF1ではモーターも異常過熱する心配もある。熱源を抱えるF1マシンにとって、冷却の妨げになる酷暑は、もっとも戦闘力がもがれる環境なのである。
だが、そこでホンダF1は勝った。そこだからこそホンダF1は勝利した。それはすなわち、技術力の証明に他ならない。
凱旋レースで勝利
開発リーダーの山本雅史F1マネージングディレクターは、オーストリアGPに挑むにあたって期するものがあったと言う。メインスポンサーでありチームオーナーであるレッドブルは、オーストリアの企業である。いわば凱旋レースである。そこで勝つために開発を徹底したというのだ。
エースドライバーであるM・フェルスタッペン(オランダ)のドライビングも、酷暑のサーキットで冴え渡った。というのも、レーシングマシンの冷却は走行風に頼る。だから、ライバルの背後で走行を続けたくない。フレッシュエアが得られないからだ。そんな状況下では、ライバルをロックオンしたら躊躇せずに挑みかかる攻撃的なM・フェルスタッペンのドライビングスタイルは好都合だった。ライバルの背後で、モタモタと熱風を浴びないからである。