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“観光地”になった四川大地震被災地 驚異的な復興速度
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2008年5月12日に発生した四川大地震から早くも5年が過ぎた。最も被害の大きかった地域の一つである四川省北川県が一昨年10月から「地震跡地」として一般公開されたので、現地を訪れてみた。
四川大地震では約6万9000人が死亡、なお約1万8000人が行方不明のままとなっている。このうち北川県での死者は約1万6000人(もともとの人口は約16万1000人)、行方不明者も多かった。
四川省の省都成都から高速道路を走って1時間半ほどで、地震記念館のある場所に着いた。四川省の片田舎とは思えないほど、建物は立派だった。そこでまず、資料や映像を見た後、被災地である北川県の中心部に専用のバスで向かった。
参観費は記念館入場券から被災地見学まで一括して30元(約500円)だった。その内訳は、17元が専用バス代、1元が保険、残りの12元は「総合服務費」(入場料)となっている。「被災地を参観するのに、30元もとられるのか」と思いながらも、ともかくチケットを買うしかない。
被災地は周囲を山で囲まれており、真ん中を川が流れている。
片側の山全体が崩落し、中心部をほとんど埋め尽くしてしまった。かつて中心部だった目抜き通りに入っていくと、ほとんどの家屋の1階部分が埋没し、2階以上も崩壊したり、傾いてしまったりしている。山際に建っていた小学校では多くの生徒が犠牲となった。かなりの遺体がまだ、見つかっていないという。
それなのに観光地化することに対しては、現地の人たちの気持ちにも複雑なものがあろう。だが政府は、現場があまりにも激しく崩壊しているとの理由から、比較的早くに「地震跡地」として保存することを決め、遺体の捜索もある段階で打ち切ってしまったようだ。日本では住民の反対で、とてもそこまで大胆には進められない。
訪問したときは、この被災地が一般公開された直後だったにもかかわらず、かなりの観光客が国内各地から訪れていた。現地に着くと、被災地全体を見学しやすいように、10人乗りくらいの電気自動車に乗り換えることができる。緑と白のツートンカラーで、しゃれたデザインだ。もちろん「専用バス代」とは別に「電気自動車料金」を払わねばならない。
崩壊現場は遺跡として残すために、補強工事などが進められていた。案内のパンフレットをみると、「地震の原形をとどめて保存した遺跡としては世界最大」と書かれている。
ところがしばらくしてから、中国のネットに、「地震の被災地を参観するのに入場料を徴収するのはけしからん。死者を冒涜(ぼうとく)するものだ」との批判の声が相次いだ。
このため現地では「総合服務費」の12元は徴収しないことになった。ただ、被災地を参観するための専用バス代は、これまで通り徴収している。
現地を参観して驚いたのは復興の速さである。生き残った被災者たちは、まったく別のところに新しい街をつくって、移り住んでいた。被災地への各地方からの支援も活発だ。北川県では、山東省が約100億元の資金を投入して、住宅や医療衛生施設などの建設を行っていた。
東日本大震災の復興建設は、発生から2年過ぎても遅々として進んでいない。いったいこの違いはどこからくるのだろうか。(藤村幸義・拓殖大学教授)