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「信頼できる東電社員だった」 吉田元所長死去に被災者も驚き
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東京電力福島第1原発の吉田昌郎元所長(58)の突然の訃報は、福島県内の被災者にも驚きをもって受け止められた。
福島第1原発が立地する大熊町から会津若松市に避難する根本友子さん(66)は事故前、吉田元所長と町の行事などで何度も一緒になったという。
震災前から「地域交流」を大事にしていた東電は自治体主催のスポーツや文化行事に積極的に顔を出していた。農業委員などの役職にあった根本さんは地域住民との交流を大事にする東電に信頼を寄せた。「吉田さんは体格のいいスポーツマンタイプ。だれに対しても腰が低く、一対一で話をしてもいつも穏やかで、東電の中でも信頼できる社員だった」と振り返る。
原発事故後、連日連夜、声を張り上げながら陣頭指揮を執る吉田元所長に、根本さんは記憶とのギャップに驚いたという。「現場のトップにだれからも信頼される技術屋さんがいたからこそ、事故があの程度で済んだと今は思っています」と突然の死を悼んだ。
しかし、一方で東電に裏切られた思いを引きずって避難生活を続ける被災者がいることも確かだ。
双葉町浜野地区の区長、菅本洋さん(72)は「事故前に原発の地震・津波対策をお願いしたことがあったが、『想定していない』とはねのけられた。あのときに対応してもらえれば…。事故後、吉田元所長からの謝罪はなかった」と残念そうに語った。