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【STAPキーマン 笹井氏会見詳報】(4)功名心否定「手助けしたかっただけ」 小保方氏の不服「心痛んだ」

ニュースカテゴリ:社会の科学技術

【STAPキーマン 笹井氏会見詳報】(4)功名心否定「手助けしたかっただけ」 小保方氏の不服「心痛んだ」

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会見する笹井芳樹・理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長=16日午後、東京都千代田区(小野淳一撮影)  (16:00~17:00)

 《新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で、共著者で理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長の笹井芳樹氏(52)への質疑応答が続いている》

 《笹井氏は36歳で京都大教授に就任し、有力な科学誌にたびたび論文を掲載してきた。ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏(51)とは、万能細胞研究の分野で競い合ってきたライバルだ。山中氏より先にノーベル賞候補として挙げられていただけに、記者からは、成果を急いだのではないかとの質問がぶつけられた》

 --STAP細胞研究を通じて功名心はなかったか

 笹井氏「それは、私のですか」

 《STAP細胞研究がiPS細胞と比較されることが多いことは、笹井氏も認識しているのだろう。穏やかな口調から一転、身を乗り出すようにして記者に確認をした》

 笹井氏「純粋にアドバイザーとして、若手研究者が発見した独創的な研究を世界に届ける手助けをしたいと思っただけで、最初は共著者にも入るつもりもありませんでした。自分自身の仕事として、STAP細胞を考えたことはありませんでした」

 --STAP現象があることを前提としなければ容易に説明できないデータがあるとおっしゃるが、画像加工などはいくらでもできてしまうのではないか。すでに2つの不正を見逃した責任を認めているが、他データが信頼できるとする理由は何か

 笹井氏「本日の配布資料に使った写真では、小保方氏が一人で解析できた実験結果は極力排除しました。実験の途中から投入することのできない細胞もあるし、撮影した画像などは、1コマ1コマ日付も入っており、これらをいじればすぐにわかってしまう」

 《説明には専門用語が多く登場するだけでなく、独特の表現が混ざる。そのひとつが、「ある」「ない」などの断定的な言い方をめったにしないことだ。STAP細胞の存在の有無を知りたい記者らは、語気を強める》

 --根拠が不十分なのではないか

 「科学論理の立て方の問題になってしまうのだが、遺伝子解析をしたときに、STAP細胞が今まで知られている細胞でないことは事実です」

 --博士論文と同じ写真が使われていることが発覚したときに「軽微な間違い」と報告した理由は?

 「私は『軽微な間違い』という表現はしていません。写真の問題については、2月18日、まず電話で小保方さんから聞きました。博士論文に載せたものを投稿することが不正であるか、もしくは写真のデータ自体が間違っているかの2点の問題があります。確認をしたところ、博士論文は早稲田の内部的なもので、雑誌の投稿に使うことは問題はないとなり、不正流用ではないことが確認できたので、2月20日に調査委員長に報告しました。若山(照彦・山梨大教授)研究室時代の真正の写真もありました」

 《博士号を取得したばかりの若手の研究者は、就職先も十分になく、自分の研究を続けられるか否かが所属機関の一存によって決まることも少なくない。理研へ反旗を翻す形でSTAP細胞の存在を強調した小保方氏の動向を、笹井氏はどのように考えているのか》

 --小保方氏の不服申し立てをどのように見たか

 「率直に言えば心が痛みました。ああいった場に出なければいけなくなった理由は、論文に不備があったためで、共著者としての力不足を感じました。話している内容は、普段から聞いていることと変わりなかったので、率直な思いを語っていたのだと思います」

 --笹井氏も再調査を希望するということか

 笹井氏「小保方さんの発言は、あくまで調査委員会への反論であったと思っています。両者は不正なのか、ミスなのかということで対立しているが、事実の取り違えをしたというわけではなく、故意かどうかなので、私がコメントすることではない。こうした事態を避けてあげることができなかった、アドバイザーとしての力の無さをわびたいと思っています」

 --200回以上成功したということは聞いていたか

 笹井氏「何を持って成功したとするかによると思います。小保方氏が200回と言っているのは、多能性マーカーの発現の確認ではないかと思います。キメラ形成能など多能性の解析検証をやったということではない」

 --では実験は、何を持って成功といえるのか

 笹井氏「理化学研究所は、キメラ形成能など多能性の解析検証も行おうとしているのだろう。理研は信頼が損なわれた状況で、マイナスからのスタートになるので、150%の正確性を求めることになるわけです。より正確性、検証度の高いものが必要となります」

 --キメラ形成能など多能性の解析について笹井氏は見ていないということか

 笹井氏「多能性マーカーの発現する、ライブ・セル・イメージングはほぼ見てきました」

 --執筆段階で参加したということだが、小保方氏と若山氏の書き上げた最初の論文のうち、どのくらいの分量を書き直したのか

 笹井氏「オリジナルは見ていません。当時の副センター長の指示で2人がある程度直してきた段階のものを見たわけですが、図表などはきれいに直されていた。ただ、依然論理が順序を踏んでいないものがあったので、そうしたものは書き直すようにしました」

 --論文を撤回すべきでないとする小保方氏について、科学者としてどう見るか

 笹井氏「ハーバードのメンバーも撤回すべきではないというスタンスでおり、小保方さんは理研とハーバード両方の立場があるのだろう。この実験が正しいか、正しくないかによって発見の有効性が大きく変わってくるものですから、論理を一度バラバラにして、組み直した方が研究者の姿勢としてふさわしいと思っています」

 《検証実験や第三者による再現実験の重要性を繰り返す笹井氏。一方、再現実験をめぐっては、小保方氏も「コツがいる」と説明するなど、成功例の報告はまだない。記者は、再現方法がきちんと明示されないことに原因があるのではないかと問う》

 --なかなか再現できない、再現するにはコツがいるという主張は、これまでの研究者でも同じようなことがあり、それらの論文は後々になって捏造(ねつぞう)と発表されることがあった。山中教授も同様のことがあったが、詳しい再現方法を開示することで世界的に認められる研究成果を上げた

 笹井氏「2014年バージョンのプロトコール、または(投稿誌に基づく)ネイチャープロトコールをつくる必要性は感じていました。ただ、今回は論文が受理されてから掲載までが予想以上に短期間で、プロトコールの改良が行われなかった」

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