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原発審査、決まらぬ“第2陣” 迫る「原発ゼロの夏」 規制委の審査停滞に批判も

ニュースカテゴリ:社会の事件・不祥事

原発審査、決まらぬ“第2陣” 迫る「原発ゼロの夏」 規制委の審査停滞に批判も

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 原発の再稼働に向けた安全審査で、審査を優先的に進める「優先原発」に選ばれた九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)に続く“第2陣”が一向に決まらない。ひな型にするとした川内の審査書案作成も遅れており、事業者や地元は「原子力規制委員会の審査の停滞が著しい」と公然と批判し始めた。東京電力福島第1原発事故後初めての「原発ゼロの夏」を迎える公算が大きくなっている。

 川内の優先原発選定は3月13日に決まった。だが、1カ月以上たっても審査書案は作成されていない。規制委は「九電から補正申請書が出ないためで、事業者の責任だ」と説明する。

 九電は規制委の指摘に従い、基準地震動(想定する最大の地震の揺れ)を大幅に引き上げたため、施設の耐震強度を変更するなどした補正申請書を今月30日にも提出する。九電担当者は「ぎりぎりでやっており、へとへとだ」と現場は疲弊し切っているという。

 これに対し、割を食っているのが他の原発だ。審査チームは約90人しかいないが、規制委は「川内のために人員を集中している」としており、これまで週に3回だった審査会合は2回に減ることが多くなった。

 川内に続く第2陣候補の先頭にいたのは、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)だった。福島の事故後も、大飯だけは電力不足回避のために再稼働を認められた実績があったからだ。しかし、関電は今月23日、規制委の要求に従う形で震源の深さを変更し、追加工事の必要から年内の再稼働は難しくなった。

 代わりに浮上しているのは、四国電力伊方3号機(愛媛県)と九電玄海3、4号機(佐賀県)。九州、四国、関西の経済連合会は今月中旬に相次いで、「意思決定が迅速に行われているとは言い難い」と規制委を批判する文書を政府に提出した。

 規制委が川内に集中しているのは、新規制基準に基づく審査が初めてのことで、審査チームが審査書案の作成練度を高め、川内以降の審査のスピードを速める意図がある。

 川内の審査書案作成は当初1カ月を見込んでいたが、原子力規制庁幹部は「行政官としてきちんとした審査書をつくる責務がある。そうでないと、訴訟になったときに対応できない」と話し、さらに長期化する可能性を示唆。「原発ゼロの夏」が現実味を帯びてきた。(原子力取材班)

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