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マクドナルド全店禁煙(上)現場は困惑「このままでは店が潰れる」
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全国で3千店舗以上を展開するファストフード最大手、日本マクドナルドホールディングスが平成26年12月期の連結最終損益が170億円の赤字に転落する見通しとなった。7月に発覚した品質期限切れ鶏肉問題に加えて、8月から全店舗を店内完全禁煙に踏み切ったことも影響しているようだ。
“デフレの勝ち組”と呼ばれた同社にとって赤字転落は11年ぶりで、2003年12月期に出した約71億円の赤字を100億円も上回る。
今年2月から売り上げ減少が続く中、7月下旬にチキンナゲットの調達先であった中国の食肉加工会社が消費期限切れの鶏肉を使っていたことが発覚。全店禁煙実施後の8月には全国2583店舗で「豆腐しんじょナゲット」と「マックウィング」の一部の購入者から73万円余を過剰徴収するトラブルも引き起こしてしまった。
逆風が吹く中で店内完全禁煙はスタート。環境への配慮を打ち出すことでイメージ回復を狙ったとの見方もあるが、「数年前から店内全面禁煙へ移行しており、昨年までに既に9割の店舗で実施してきた」(日本マクドナルド広報担当)と既定路線だったとし、「愛煙家にはご迷惑をかけてしまうがきちんとコミュニケーションをとり、引き続きご愛顧願いたい」(同)と喫煙者の“排除”ではないことを強調する。しかし、反応は厳しかった。
ビジネス街を中心に都内のマクドナルドをいくつか回ってみた。
どの店舗も分煙時代にあったはずのアクリル板が取り払われ、スーツ姿を見かけることは極めて稀。代わりに周辺に点在する分煙で営業している大手チェーンの喫茶店などがにぎわっているように見受けられた。
マクドナルドから徒歩1分ほどの場所に位置するカフェで、関西から出張で来たという喫煙中のビジネスマン2人に話を聞いてみたが「マクドはコーヒーが100円でありがたかったんだけど、夏から全然行ってません」。
利用者はたばこが吸える店を選ぶことできるが、現場で働くマネージャーの悩みは深刻だ。
品川区にある店舗からは「子供連れのお客様からは歓迎されているけれど、平日昼間のサラリーマン客が減って大打撃。本社の方針だから従うしかない」という、あきらめともとれる声が聞かれた。
また、港区のオフィス街に位置する店舗のマネージャーは「長年通ってくれてた常連の喫煙客が周辺にあるタバコの吸えるコーヒー屋さんに流れてしまった」ことや「朝の時間帯のお客さんが目に見えて減ってしまった」ことを嘆いている。
フードコンサルタントの白根智彦氏は「マクドナルドは気楽なカフェ的機能も担っているので、全店での実施には違和感を持つ。機能的には分煙でよかったはずであるが全席禁煙まで踏み切ったことはある意味謎である」と疑問を呈する。
さらに「タバコを吸うにもお金がかかる都市部の喫煙マーケットでは、安く手軽に利用できるマクドナルドは重宝されてきた。利用動機の大幅減は間違いなく、全店店舗内全面禁煙は、予算を背負う営業部隊からすると大変に迷惑な話であろう」とマネージャーに同情を示した。