純国産で安定出力が可能な地熱発電。日本は世界3位の資源量を持つが、開発の困難さなどから現在の主要な地熱発電所は17カ所、認可出力は51万キロワット程度にとどまり、今世紀に入って新規稼働はない。30年以上、地熱発電にかかわってきた国際石油開発帝石事業企画ユニットの安達正畝シニアコーディネーターは、一昨年から始まった固定価格買い取り制度(FIT)の対象となったことなどで、「導入拡大の起爆剤になり得る」と強調する。
--地熱開発が進まなかった理由は
「開発期間が10年以上と長く、1カ所当たりの初期投資が数百億円かかるにもかかわらず、公共料金の電気事業のためリターンが低く、民間事業者にとっては困難だった。ほかにも、温泉事業者の反対や自然公園内の開発規制、さらには国の支援が減ったことなどだ」
--FITでは1キロワット時当たり26円で15年間の買い取り期間だ
「26円と15年間という数字は、業界が利益計算と今後の努力目標も含めた数字を提案し、それを受け入れてもらった。これで採算が見込めるようになり、ビジネスモデルができ、開発の起爆剤になると期待している」
--FIT導入後は新たな開発計画が出ているのか
「当社は北海道と秋田県で調査を始めたほか、福島県では東日本大震災後の復興のため、10社連合というオールジャパンの計画も動き始めている。このほかにも、現在の主な調査・開発地点は66カ所あり、このうち約半分が調査段階に入っている」
--国は環境アセスメントの短縮も打ち出している
「これまで4年程度かかっていたが、電源開発(Jパワー)などによる秋田県山葵沢のプロジェクトは2年程度で終了するなど実際に短縮されている」
--日本の地熱資源量は約2300万キロワットとされている
「地熱発電には熱、水、地質構造の3要素が必要だが2300万キロワットという数字は水を考慮していない。業界の目標として、2050年で最低でも95万キロワット、さらなる規制緩和が進むベストシナリオで190万キロワット、高度な技術革新が進むドリームシナリオで1000万キロワットというビジョンを提示している。課題も多く、それを解決する特効薬はないが、純国産で設備利用率が高く、地域産業の振興にも貢献する地熱開発が着実に進む基盤はできた」
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【プロフィル】安達正畝
あだち・まさお 名古屋大学大学院岩石・鉱物・鉱床学講座修士課程修了。1974年三井金属鉱業入社。奥会津地熱社長などを経て、2012年から現職。静岡県出身。65歳。