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もろくも崩れた「全量買い取り」 再エネ普及の起爆剤、見通し甘く
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太陽光パネル 民主党政権の肝煎りで導入された再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度。再エネ普及の起爆剤となるはずだった「全量買い取り」制度は、見通しの甘さもあり、もろくも崩れた。
電力会社が太陽光発電事業者に求めることができる出力抑制は、過剰な電力が送り込まれ送電網が“パンク”することを防ぐための措置だ。ただ、事業者側の売電収入が失われることから、年間30日を上限としていた。無制限に出力抑制できる指定電気事業者制度は緊急事態に備えたものだった。
しかし、経済産業省は再生エネの普及を優先するため、比較的簡単に事業が始められる太陽光の買い取り価格を高く設定。事業計画の審査は簡単な書類の確認だけで、ほぼ無制限に認定を出した。このため、太陽光発電に「想定以上の早さ」(経産省幹部)で事業者が参入。太陽光の認定量は大手電力の受け入れ可能量を大きく超えてしまう誤算が生じた。
電力各社は制度見直しにより、9月下旬から保留してきた買い取りの再開を相次いで表明した。
だが、難題は残っている。再エネ買い取り費用は電力料金に上乗せする形で徴収されている。経産省の試算では、すでに設備認定された電力をすべて受け入れたと仮定すると、毎月の電気代が約700円も上がることになる。政府は国民が負担増をどこまで受け入れられるのかをにらみながら、中長期的な制度見直しを進めることになる。
再生エネ普及の先進国ドイツでは、国民負担の増加が問題化。制度の見直しを繰り返しており、国民負担が大きくなりがちな固定価格買い取り制度をやめる方向で検討している。
日本での混乱は、菅直人・民主党政権にある。制度の詳細が作られた11年当時、退陣を迫られていた菅首相は、再エネ推進派の会合で「菅の顔をみたくなければ、早く(再エネの)法案を通した方がいい」などと述べ、自民、公明と修正法案合意に持ち込んだ。
この前後の制度づくりでは、太陽光の買い取り価格が高額に設定されたり、事業者と電力会社の契約手続きの中で、買い取り価格の決定時期が、より高い額になるように前倒しされる修正が施され、見通しの甘さが指摘されている。
18日に開かれた経産省の有識者会議でも、買い取り時期の前倒しについて、ある委員が「疑問があった」などと疑義を呈しており、現行制度は曲がり角にきている。(塩原永久)