ニュースカテゴリ:暮らし
仕事・キャリア
転職で後悔した人たち 「デカいことを言わなきゃ…」「専門外ですよ…」
更新
長引く不況下にあって、時代は大きな転換期を迎えている。企業も大胆な制度改革を余儀なくされており、転職者も戸惑うことが多いはずだ。入社後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔せずにすむように、落とし穴を事前に探るための対策方法を、人材コンサルタントに聞いた。
中堅広告会社の営業から大手代理店子会社に営業として転職した31歳男性
「前の会社が傾きかけていたため、焦る気持ちから書類や面接で大風呂敷を広げすぎてしまいました。面接で上司に『次世代リーダーの誕生だ!』と言われるくらい気に入られてしまい…。さらに、ちょっと知識があるといったばかりに、いきなり新規プロジェクトを担当することに。正直、そんなに知識はないんです。デカいことを言わなければよかったと後悔しています」
【こうならないためには…】
無理して「できる」と言わないこと。向上心で勝負しよう
入社することが目的ではありません。あなたの失敗は、入社後のことを考えておかなかったことでしょう。大量採用ができないこのご時世では、一人の中途入社者の担うべき役割が大きくなるのは当然です。だからといって、すべてできる必要はないのです。できることと、できないことをはっきり認識できている人のほうが企業も信頼しますし、その中でどう努力できるかが大事なのです。それは即戦力でも未経験でも同じ。あなたの場合は、任された以上、もうチャンスだと思ってなりふり構わず努力することですね。
大手CD店の主任から音楽制作会社のマーケティング職に転職した32歳男性
「これまで音楽業界一筋。実地で学んだ消費者の購買パターンを、マーケティングの仕事に活かそうと転職したものの、陳列手法や販促キャンペーンなどといった、これまで携わってきたマーケティング手法が通用しなさそうです。求められるのは、ネットに関する知識ばかり。音楽配信についての知識不足は認めますが、変革期にともなったマーケティングシステムの再構築なんて専門外ですよ…」
【こうならないためには…】
現在活躍している社員のプロフィールを確認してみよう
現在のように変化が激しい時代では、どんな仕事に挑戦するにしても、これからの世の中の動きを知らないというのは致命的です。あなたのようなズレが生じないためには、面接時に「どのような経験の人が活躍していますか」と聞いてみるのがいいでしょう。一方で、あなた自身が「キャリアチェンジをしている」という意識を持つことも大切です。前の仕事のやり方に引きずられすぎるのはよくありません。理想の転職は、「前職のやり方をそのまま活かす」ことよりも、「活かしつつ、新しいチャレンジができる」環境を探すことですよ。
ネット広告の営業からポータルサイトのディレクターに転職した33歳女性
「メディアを作る仕事に憧れ、念願のディレクターに転職成功。サイトの規模が縮小したことは聞いていましたが、制作予算がこれほどまでにカットされているとは…。こんな予算ではWeb画面のデザイン発注すらできるとは思えません。面接では何かを書いたり手を動かしたりすることが好きだとアピールしましたが、ひょっとして自分ですべて作れということですか…?」
【こうならないためには…】
携わる仕事の社内での位置づけを確認しよう
経費削減が至上命題の会社ではよくある話ですね。予算の分配で、会社が事業としてどのくらい力を入れるかがわかります。「入社後に携わるサイトの社内での位置づけや、今後の展望を教えてほしい」などと、事業の将来的な方向性を聞いてみましょう。そうすれば、どの程度の予算で、どの程度の質のものを、どのような手段(社内か、外注か)で作るのかを確認しやすくなります。確かにお金のことは聞きにくいでしょうが、仕事の進め方や評価に直結する問題。自分の身を守るためにも、きちんと確認しましょう。
人材派遣会社の広報からWebマーケティング会社の広報に転職した30歳女性
「前の会社は経費削減を徹底していて、どんな企画を進めるのにも、低予算の中で工夫せざるを得ませんでした。ところが転職先では使える予算がケタ違い!「こんなにいいの?」と心配になるくらいの額を任されます。裁量が広いことは嬉しいですが、その分の責任は負わされるわけで…。予算が多いなんてぜいたくな悩みですが、もう少し、検討すべきでは?」
【こうならないためには…】
予算を任されるプロジェクトの規模と納期を確認しよう
予算は会社や業界によって差異が大きく、ましてやこの不況下ではなおさらです。広報やマーケ、研究職などによくある話ですね。「携わる部署が将来的に何を期待されているのか」「これまでどれほどの実績を上げてきたのか」を質問することで、入社後の仕事の規模を察しておくといいでしょう。「どんなプロジェクトを、どんな人たちと実現させるのですか?」「仕事の期間と、それに付随する予算はどのくらいですか?」などと話を広げるチャンスにもなります。
入社後に「こんなはずでは」と感じる場合のほとんどが、「面接の場で、配属先の人から直接仕事の進め方が聞けていない」ことが原因だと藤井氏は語る。キャリアアップを実現する貴重なチャンスだけに、一人でも多くの人と会って話せるよう、遠慮せずに人事担当者に相談してみよう。変化が激しい時代だけに、やはり生で聞ける情報が有効。転職に納得がいけば、入社後のやる気もアップし、ビジネスパーソンとしての成長につながるはずだ。