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誰かに勝つことを目標にしててはダメになる 悪戦苦闘の学生が考える「若年離職」(下)

ニュースカテゴリ:暮らしの仕事・キャリア

誰かに勝つことを目標にしててはダメになる 悪戦苦闘の学生が考える「若年離職」(下)

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講演会では、若年離職を避けるにはどうすればいいのか、参加者で討論も行った=2012年12月22日、埼玉県さいたま市のアウトスタンディング本社(4大学合同_有志学生記者撮影)  相手の利益考え「Win-Win」の関係に

 多くの学生が就職がなかなか決まらずに苦労し、しかも、せっかく就職してもすぐに辞めてしまう。こうした現状について、人材コンサルタントの稲井田将行さん(37)は「目標の設定の仕方に問題がある」と指摘する。

 正しい目標設定とはどうすればいいのか。「ウサギとカメ」の寓話に例えてわかりやすく解説してくれた。

 「ウサギとカメが競争をして、カメが勝利するストーリーですが、明暗を分けたのは、カメはゴールを目標とし、ウサギはカメに勝つことを目標としていたから。ウサギは余裕で勝てると高をくくり、途中で寝てしまいゴールできなかった。もし、ウサギもゴールを目標としていたら、ゴールした後に寝ていたはず。就職活動に当てはめても同じ。単なる内定の取得ではなく、自分が納得する目標を立てることが大切」

 誰かに勝つことを目標にしても、結局は目標としているその人止まりである。目標にたどりつくコースは一つではないのだから、それぞれが本当に目指すべき目標に向かって、自分らしく歩んでいくべきなのだ。

 売り込むのではなく

 かつて営業マンだった稲井田さんは、営業がうまくいかなかった経験があるという。

 「自分の成績を上げたいがために、『これが売れればいいなー』という気持ちで相手に臨んでいた。すると下心が伝わってしまい、相手に受け入れられなかった。そこで、考え方を変え、自分のためではなく、相手の幸せを第一に考えるようにした」

 稲井田さんは、営業で企業を訪問した際、相手の担当者の地位をどのようにして上げるかを考えるようにしたという。

 「例えば、その担当者の上司に会ったら、『○○さんにはいつもお世話になっております』と、その担当者を必ず持ち上げた。その担当者の昇進に必要な資料があったら、進んで自分が作るようにもした。要は、相手が喜んでくれることをしていく。すると、値段とかは関係なく売れていくようになった」

 自分の営業成績のために相手に売り込むのではなく、相手の利益になる行動を心がけるという意識を持つことが、結果として成績アップにつながった。

 就職活動も同様で、選考を受ける企業に対し、「この会社を勝たせるには、どうすればいいのか」と考えて臨むと、他の学生とは違った雰囲気が出るという。

 稲井田さんが出会った就活生の中にも、9月までは全く結果が出なかったが、「この会社に入ったら、自分がどのように活躍できるか」という点を具体的に考えて面接に臨むようにしたところ、11月に立て続けに3社の内定を獲得した例もあるという。

 この先の人生においても

 自分の目先の目標にとらわれることなく、相手の利益をまず考える。こうした「利他」の行動が、就活でも、就職した会社でも、そしてこれからの人生においても、キーワードになりそうだ。

 「相手がどうやったら幸せになるかを考え、人が幸せになることが自分の喜びだと思うようにしている。相手を幸せにするという考え方は、就活にも、その後のどんな仕事にも当てはめることができ、尽きることのない目標になる。そうすることで自分の業績も上がり、お互いが幸せになれる」

 相手の幸せを考えて行動した分、自分にもその幸せが返ってくる。就職活動のときから、そんな「ウィン-ウィン」の関係を築くことを意識し、行動していれば、まさしく社会に出てから活躍できる人材になれるのではないだろうか。

 

 【取材チーム】4大学合同 有志学生記者

茂木雄太郎(獨協大学4年)、鈴木徳宏(明星大学4年)、三浦由貴(明治大学2年)、椎名啓太(浦和大学短期大学部2年)

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