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オーロラを見たとき、あなたは? 涙する日本人サラリーマン、「証拠重視」中国人…

ニュースカテゴリ:暮らしの余暇

オーロラを見たとき、あなたは? 涙する日本人サラリーマン、「証拠重視」中国人…

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 多くのオーロラ観光客でにぎわう北ノルウェー、トロムソ。観測に臨んだ5日間で幸運にも4日間オーロラに出会うことができ、存分に感慨にひたったわけだが、一方で興味深かったのが、世界各地から集まったツアー客たちの反応だった。

 「魂を奪いに」

 他のオーロラ観測地より比較的温暖とはいえ、北極から吹きつけるトロムソの風は身にしみる。寒空の下、いつ現れるか分からないオーロラを待ち、突如頭上に荘厳な光が現れた瞬間は思わず叫び出したくなるほどの感動だった。

 しかし、ノルウェーの言い伝えでは、オーロラに手を振ったり、口笛を吹いたり、歌ったりしてはいけないという。「そんなことをしたら、オーロラの『精霊』が魂を奪いにくる」。オスロから出張がてらオーロラに会いに来たという男性は真剣な眼差しで語った。彼らは子供のときからそう言い聞かされ、オーロラの光が科学的に解明された今でも、言い伝えを大切にしている。「オーロラは特別なもの」と、その男性はいつまでも、静かに空を見上げていた。

 「情」の日本人、その一方で…

 初めて目の前に現れたオーロラは、微妙な彩りを放つ雲のようだった。大空に揺れるカーテンのように常に形を変え、ゆらゆらと艶かしく踊る妖精の姿を思わせた。

 「日本人はとても感情的」と、トロムソ郊外・ソマロイでホテルを経営するヒェル・オーヴェ・ヴェーディンさんはいう。この街で生まれ育ち、街の活性化のためホテルとレストランを開業。観光客のツアーガイドも精力的にこなす。多くの外国人とオーロラのすばらしい「出会い」を取り持ってきた。

 ヴェーディンさんが感動したのは、ある日本人サラリーマンがオーロラを見て泣いて写真が撮れないと訴えたシーンだという。「男性は泣いていることにすら気づいていなかったんだ。情にもろいと言われる日本人だが、あんなに感情的だとは」と感嘆する。

 もっとも、そんな情緒あふれる日本人ばかりでないことは当然で、ツアーで一緒になった4人組の日本人学生は調子はずれなほど「ドライ」だった。

 “草食男子”風の彼らは、ツアーバスの中でも「お前、昼の犬ぞりのにおいがまだする」などとふざけあい、情緒めいたものは皆無。オーロラを見た瞬間こそ「おぉぉ」「すげー」と感動の声が漏れたが、数十分もすると「おまえ、まだここにいる?」「寒くなってきた」「この後どうするんだろう」と撤収モード。別な撮影場所に移り、降り注ぐようなオーロラを目にしても明らかに食傷気味な様子で、大自然の神秘も彼らには荷が重かったのかもしれない。

 中国人は「見た証拠」重視?

 「日本人と対照的なのが中国人」と、ヴェーディンさんはいう。オーロラを前に、取りつかれたように大騒ぎするのだとか。「まずオーロラの写真を撮り、次にオーロラと自分の写真を撮る。そして、オーロラを見た記念となる品を片っ端から買っていく。ここに来たという証拠写真のためか、僕との写真もみんな撮りたがるんだ」と笑う。

 一緒に話を聞いていたロシアからの女性観光客は、「ロシア人も大騒ぎするところはよく似ている。でも、中国人は負けず嫌い。帰国後、オーロラを見たと自慢できるあらゆるものを持って帰るのでしょう」と同調していた。写真を撮りまくるのは日本人観光客のステレオタイプと思っていたが、今はそうでもないらしい。実際、オーロラツアーで一緒になった中国人観光客は我先に写真を撮っていた。

 「チラ見で十分」vs「ずっと見ていたい」派

 ツアーで興味深かったのが英国やドイツなど欧州の観光客の反応だ。なかなか拝めないオーロラを求め、そのためにツアー費を払っているはずなのに、どちらかというと仲間同士のおしゃべりに夢中…という参加者が目立った。観測場所に到着し、夜の冷気の中へ、三脚とカメラを抱えて勢いよく出て行った男性グループが、30分後にはみんなテントへ撤収していた。その後は、ココアを飲んだり、クッキーを食べたり、延々談笑タイムが続く。オーロラが出ているかチェックする素振りもない。そのくせ、偶然現れた野生のトナカイに大騒ぎしたりして、なんとも自由だ。

 その後も、バスが止まると20人ほどの欧州勢が一瞬外に出て、空を見上げオーロラを確認したら、すぐに車内に戻っておしゃべり…といった光景が続いた。

 一方で、欧州勢でも熱心にオーロラを撮りつづける少数派の姿も。ひたすら黙々とシャッターを切る人、撮影方法を確認しながら撮った写真のできばえに一喜一憂するカップル…。

 撮影時間終了間際、ひとりの白人男性は最後まで名残惜しそうにシャッターを切っていた。奥さんはバスで仲良くなった人とお喋りに興じ、夫が目を輝かせてバスへと戻ってくると「撮れた?」と笑顔で迎えていた。各々の好きなことを尊重する個人主義の表れか、そんな時間の過ごし方もあるのだろう。

 帰りのバスでは「撮った」「うまく撮れなかった」などの声が飛び交っていた。お喋り組がいつの間に撮影したのかは謎だが、だれもが満足そうな笑顔にあふれていたことは言うまでもない。

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