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原宿発、世界へ「Kawaii」文化の伝道者 きゃりーぱみゅぱみゅさん

ニュースカテゴリ:暮らしの余暇

原宿発、世界へ「Kawaii」文化の伝道者 きゃりーぱみゅぱみゅさん

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【クールジャパン 目覚めよ日本力】

 遊び心に満ちたファッションと音楽で日本の「Kawaii(カワイイ)」文化を牽引(けんいん)し、国内外から支持を集めるモデルで歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさん(20)。今やクール・ジャパンの象徴ともいえる表現者を形作ったのは、流行発信地、東京・原宿という“地域性”だった。(三品貴志)

 

 「今、シンガポール公演が無事に終わりました! これにてベルギー、フランス、イギリス、台湾、香港、ロサンゼルス、ニューヨーク、シンガポールとワールドツアー全公演終了しました! 思い出いっぱい! ありがとう☆」

 きゃりーさんは今年5月10日、短文投稿サイトのツイッターで2~5月に世界7カ国・地域を回った初の海外ライブツアー終了を報告した。各会場には色彩豊かなファッションに身を包んだ現地ファンが詰めかけ、チケットが完売する公演も続出。成功を受け、来年の開催も決まった。

 ツアーに同行した所属事務所、アソビシステム(東京都渋谷区)の中川悠介社長(32)は「米ニューヨークのファッションストリートをきゃりーと歩いていたら、現地の通行人に相次いで声をかけられた。海外での反響を肌で感じた」と驚きを隠さない。

 平成19年に同社を設立し、原宿を拠点に音楽やファッションイベントを開いてきた中川社長は22年、手がけたイベントできゃりーさんと知り合った。「原宿のアイコン(象徴)を作りたい」と考えていた中川社長は、当時からブログで情報発信していた彼女の魅力に注目。後に楽曲を手がける音楽プロデューサーの中田ヤスタカさん(33)らに紹介し、23年の歌手デビューにつながった。

 以来、中毒性ある曲調や色鮮やかでやや奇怪な楽曲映像、ファッションが注目を集め、動画サイトなどを通じて海外でも人気に火が付いた。中川社長は「細部までこだわる日本的な作り込みや色彩感覚が海外でも受け入れられた」と話す。

 デビュー以来、ファッションや演出などにはきゃりーさん自身の意向を反映。中田さんや楽曲映像の美術を手がけるアートディレクターの増田セバスチャンさんら原宿を中心に活躍する大人が「作品」を磨き上げる手法は今も変わらない。

 「海外で売るために海外スタジオでレコーディングするような、『大人が料理してしまう』やり方をしたくなかった。強い発信力を持つきゃりーにクリエーターも敬意を抱き、一緒に面白がり、『旬』を作り込む姿勢がうまくいった」と中川社長は振り返る。

 現在、きゃりーさんのツイッターのフォロワー(読者)数は181万人以上。仕事の報告だけでなく日常の出来事、恋愛観まで多岐にわたるつぶやきを公開し、若者を中心に共感を広げている。自ら周囲を巻き込みブームを大きくしていく方法はまさに「ウェブ時代的」ともいえる。

 一方、同社は「HARAJUKU KAWAii!!」などのファッション・音楽の複合イベントを原宿で定期的に開催するなど、地域に密着した原宿文化の発展や新たなスター育成にも精力的に取り組んでいる。

 中川社長は「さまざまな個性がごちゃまぜに集まっているのが原宿の魅力。街の個性を自分たちで楽しみ、磨き上げることが、海外からの誘客にもつながる」と強調。きゃりーさんを核に、世界を魅了する原宿文化を今後も発信していく。

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