SankeiBiz for mobile

メニュー虚偽表示 「優良と誤認させ」どう判断

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

メニュー虚偽表示 「優良と誤認させ」どう判断

更新

 ホテルなどのレストランで相次いで発覚しているメニューの虚偽表示。冷凍魚を鮮魚、バナメイエビをシバエビなど、実際は安い食材なのに高い食材を使ったように表示されていたが、外食メニューに厳格な法規制がないことが問題視されている。一方で、食のブランド化に踊らされる消費者の姿も透けて見え、価格の意味を問い直す声も上がっている。(平沢裕子)

 明確な基準なし

 外食のメニュー表示に偽装があった場合に適用される法律は、不当表示から消費者の利益を保護する景品表示法。メニュー表示が実際よりも著しく優良であるかのように装い、不当に客を誘導する「優良誤認」があったか否かが焦点となる。

 ただ、何をもって著しく優良を装ったと判断するのか明確な基準がないのが実情だ。

 例えば、阪急阪神ホテルズが経営するホテルのレストランで問題となった「鮮魚のムニエル」。「鮮魚」としながら冷凍保存した魚を使っていたことで偽装が疑われたが、近畿大・水産経済学研究室の有路昌彦准教授は「瞬間冷凍して超低温保存し、適切に解凍して調理した冷凍ものは、刺し身で食べても生魚と区別がつかないものがほとんど。冷凍魚が生魚より劣るわけではない」と指摘。鮮魚の表記は著しく優良を装ったとはいえないようだ。

 また、「芝海老(シバエビ)とイカのクリスタル炒め」にはバナメイエビが使われていた。シバエビは仕入れ値が1キロ当たり2500円、バナメイエビは同1400円と大きな価格差はあったが、バナメイエビでも大きいものはシバエビより高値の場合がある。

 このため、シバエビの表示は間違いだが、優良誤認とまではいえない可能性がある。実際、東京のプリンスホテルで今年6月、メニューにシバエビと表示しながらバナメイエビを使っていたことが明らかとなったが、消費者庁は措置命令などの行政処分ではなく、指導にとどめている。

 価格は適正か

 これがJAS(日本農林規格)法ならば、品種や原産地が実際と違えば違反を問える。

 しかし、JAS法の対象は生鮮食品や加工食品で、レストランのメニュー表示は対象外。今回の問題を受け、「外食のメニュー表示にもJAS法を適用させるべきだ」との声も上がっている。

 農林水産省は平成17年、BSE(牛海綿状脳症)発生などを受け、「外食でも原産地表示を求める声が強くなった」として、外食の原産地表示のガイドラインを設定、積極的に表示することを勧めてきた。ただ、外食メニューの原産地表示は義務ではなく、あくまでも任意によるものだ。

 ガイドライン設定のための検討会委員だった消費生活コンサルタントの森田満樹さんは「消費者は表示情報で食べている面もあり、メニューに品種や原産地を表示するのなら事業者は責任を持って正しい表示をする必要がある」と指摘。そのうえで、「ブランド名にこだわる人が増え、必要以上に産地間価格差を生んでいるのも事実。消費者も値段が高いからありがたがるのでなく、本当にその価格に見合うのか、今回の事件を考える契機にしてもらいたい」と話している。

 対面で説明可能→JAS法適用外

 外食メニューの表示にJAS法が適用されないのは、外食の場合、スーパーなどで販売される加工食品と異なり、食材などについて店員に直接聞くことができるためだ。対面販売する総菜や弁当も同じ理由で、同法の対象にならない。

 外食メニューに原産地表示を求める声は多いが、野菜や魚などの食品には旬があり、地域によって時期は異なる。サンマは根室沖、三陸沖、千葉県房総沖などが主な産地だが、旬の時期はそれぞれ違うため、原産地だけで味を判断するのは難しい。

 ウナギは中国産と国産で大きな価格差があるが、個体差や泥の吐かせ方、調理の仕方によって味は大きく異なる。産地だけがおいしさの目安ではないが、「国産の方がおいしいだろう」の期待が価格差となっている面もある。

ランキング