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栄養バランスに優れる和食 油脂類少なくカロリー控えめ
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ごはんを主食、おかずを副食とした一汁三菜の和食は、肉を中心とした欧米型の食事に比べ、油脂類が少なめで摂取エネルギー量も抑えられる。例えば、カロリーをほぼ同じにした、洋食の朝食(食パン1枚▽ハム2枚▽ゆで卵▽ミニサラダ▽牛乳)と和食の朝食(ごはん1杯▽野菜のみそ汁▽納豆▽ホウレンソウのおひたし▽ミニトマト▽ごまふりかけ)を比較した場合、和食の脂質は洋食の約6割だ。
脂質の過剰摂取は生活習慣病予防の観点から大きな問題だけに、脂質が少ない和食は海外でも「ヘルシーな食事」として人気が高い。多彩な副菜からビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が取れるのも特長だ。
ただ、しょうゆやみそなど食塩を含む調味料を多用する和食は食塩の過剰摂取となりやすい。食塩の過剰摂取は血圧の上昇や胃がんのリスクを上昇させるほか、高血圧の有無と関係なく脳卒中の罹患(りかん)率・死亡率を上げる。
最近は小魚など骨ごと魚を食べる機会が減ったこともあり、和食ではカルシウムが不足しがち。カルシウム不足は骨粗鬆(こつそしょう)症や歯周病、糖尿病など生活習慣病の発生に関与するとされる。
これら2つの欠点を補うとして、管理栄養士の小山浩子さんが勧めるのが調理に牛乳を活用する「乳和食」だ。例えば、サバのみそ煮を作るときに使う水を牛乳に置き換えると、牛乳のコクとうまみがみそに加わり、通常の半分のみそで濃厚な味付けとなり、おいしく減塩できる。
小山さんは「無形文化遺産となった『和食』は素材の味を引き出すのに優れた料理だが、素材の味だけにして減塩すると少し物足りないと感じる人が多い。減塩の工夫にはだしや酢を活用する方法もあるが、牛乳を活用するとカルシウム不足も補える。牛乳のコクとうま味で和食がさらにおいしくなります」。
和食がヘルシーとはいえ、おいしいと食べ過ぎてしまうことも少なくない。過食と運動不足などの生活習慣の乱れは肥満を招き、糖尿病や高血圧、高尿酸血症などさまざまな疾患を引き起こす。
特に、日本人はインスリン分泌能力が低い傾向にあり、白人のようにでっぷりと太っていなくても糖尿病になる。現在、糖尿病が強く疑われる人は950万人とされ、食生活の見直しが急務となっている。
糖尿病は血糖値の急上昇と急降下を繰り返すとなりやすく、血糖値が緩やかに上がるような食事が望ましい。日本糖尿病協会の清野裕理事長は「複数の栄養素を一度に摂取するハンバーガーのような食事は血糖値が急激に上がり、糖尿病にとって最もよくない」と指摘する。
同じ種類の食品を同じ量食べても食べる順番で血糖値の上がり方は違う。和食の場合も、まず野菜を食べ、次に魚や肉、最後にごはんを食べる「懐石風」が最適。清野理事長は「懐石風の食べ方は血糖値の上昇が緩やかで、食べ過ぎを防ぐ効果もある。糖尿病の人だけでなく、予防のためにも、食事はゆっくり時間をかけて食べるようにしてほしい」とアドバイスする。
和食が健康に良いことは分かっていても、国内では食生活の欧米化が進み、主食であるコメの摂取量が減少し、一方で肉類や油脂の摂取増加で脂質の摂取割合が高めとなっている。
健康的な生活を送るための理想的な「PFCバランス(3大栄養素のバランス)」は、たんぱく質15%、脂質25%、炭水化物60%。若い世代ほど脂質が高い傾向にあり、一汁三菜の和食の良さを知ってもらう食育の取り組みに期待がかかる。