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和とフレンチ融合 温故知新の味わい 龍のひげ

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和とフレンチ融合 温故知新の味わい 龍のひげ

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京のおばんざい「にしんなす」から着想を得た「にしんのムースと筑前煮のゼリー寄せ」。“料理の温故知新”がこの1皿に表現されている  【京都うまいものめぐり】

 京阪の三条駅から徒歩数分、京都市役所のすぐ近くに、看板もなくひっそりとたたずむ店がある。「龍のひげ」。京料理をベースにフレンチの遊び心を取り入れた料理の数々は、見た目も味も存分に楽しめ、いつも多くの客でにぎわっている。雰囲気も抜群で、「私の隠れ家的存在。本当はあまり広めたくないのよ」という知人の言葉も納得の店だった。

 繁華街から少し離れた通りにある「龍のひげ」の店構えもスタイリッシュ。内装はモノトーンで統一され、モダンな雰囲気が漂う。メニューはコースのみ。月替わりのコース(3500円)をお願いした。

 おばんざいヒントに

 まずは京料理ならではの八寸。湯葉や生麩(ふ)の京食材、旬の魚や野菜など色とりどりで、思わず顔がほころぶ。オレンジの皮が練り込まれたシュー生地の中には塩気のあるアンチョビが入っていたりと、随所にフレンチの要素がちりばめられている。

 続いて出されたサラダにもサプライズが。にしんのムース(!)と筑前煮のゼリー寄せの間にナスの煮浸しが挟まれ、三者三様の味と食感が絶妙のハーモニーを醸し出す。

 「初めていただく味なのに、不思議と懐かしさも感じられます」と驚いていると、「京都のおばんざいの定番『にしんなす』から考案しました」とオーナーシェフの見舘孝司さん(39)が説明してくれた。

 お造りは大トロとヒラメ。しょうゆ代わりにオリジナルのトッピングでいただく。銀だらの西京焼きに添えられた生麩の田楽みそは、みそとクリームチーズの相性のよさにうなった。

 黒い大きな皿に盛りつけられた「つぼ鯛のソテーとカニのカダイフ巻き」は、まるで一幅の絵のようで、崩すのがもったいない。「奥は山を、手前は川を表現しました」。カダイフとはトルコ料理などで使われる細麺状の生地で、揚げ物の衣に使われることが多く、パリパリとした食感がたまらない。この1皿で“ソテー(焼き)”、エリンギや長芋の“蒸し”、“揚げ”の3種が楽しめる。

 ほっこりやさしい味で身も心も温まる「甘鯛の蕪(かぶら)蒸し」、シメの釜飯は香り豊かなちりめん山椒にふっくら炊きあがった十穀米と次々に出され、最後のデザートは「堀川ゴボウのティラミスと壬生菜(みぶな)のシフォンケーキ」。京野菜がおしゃれなスイーツに昇華していた。全部で8品、驚きの連続だった。「おだしは根コンブと削り節から取っています。京料理は花ガツオが一般的なので、うちは独特だと思います」

 変わらぬ雑草魂で

 見舘さんは、すっぽん鍋で有名な「たん熊」など京料理の名店で修業後、2004年2月に「龍のひげ」をオープンした。京料理とフレンチの融合は、すっぽん鍋とフレンチのブイヨンに共通点を見いだしたことから着想を得たという。

 「自分なりの料理を作りたいと思ったんです」。モットーは“料理の温故知新”。伝統的な技法を大切にしながら新しい可能性を見いだす。そんな見舘さんが作り出す味にひかれて毎日多くの客が訪れるのも納得で、マネジャーの門奈徹弥さん(33)は「月替わりのコースを楽しみに毎月訪れるお客さまも多いんですよ」と話す。

 店名も面白い。「龍のひげって、駐車場などでよく見かける雑草の名なんです。花言葉は『変わらぬ想い』。ずっと雑草魂でがんばろうと思い、店名にしました」と見舘さん。

 開店当初は閑古鳥が鳴いていたと笑うが、今では常連客はもとより遠方から訪れる客も。“隠れ家”に、というのは客側のエゴで、いい料理は放っておいても多くの人をひきつけるものだと思った。(文:杉山みどり/撮影:恵守乾/SANKEI EXPRESS

 ■龍のひげ 京都市中京区河原町御池下ル一筋目東入ル3軒目、(電)075・221・1551、営業時間=ランチ:午前11時30分~午後2時(LO午後1時30分)、ディナー:午後5時30分~午前0時(LO午後9時30分)、月曜定休。料理は月替わりの「今月のコース」(3500円)、「龍のひげコース」(5000円)、「特別コース」(6500円)の3コースのみ。酒はワイン、日本酒など各種。

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