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こだわりの搾りたて油でサクッと 綾綺殿
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揚げ物の王様「とんかつ」。コクのある上質油であげると軽~い味わい。オレンジ風味のオリーブオイルを使ったオリジナルソースで
江戸時代の文政年間創業という京都の老舗、山中油店。京都土産として観光客にも人気の店だが、そのすぐ近くに、同店プロデュースのショップ&カフェ「綾綺殿(りょうきでん)」がある。看板商品の「玉締めしぼり胡麻油」から直輸入のオリーブオイルまで、こだわりの油を使った料理がすぐに食べられるのが魅力。建物は築約110年の京町家で、京都情緒もたっぷり味わえる。
「本日使用中の揚げ油はこちらです なたね赤水 むかしながらの製法でサクッと香ばしく」
元米屋だったという古い京町家の風情をそのままいかした店内。奧の壁にはこんな貼り紙があった。さすが、油屋さんのカフェというべきか。今日の揚げ物に使う油が紹介されている。
「焙煎(ばいせん)して搾るので香ばしく、揚げたときにうまみやコクが出るんです。空揚げなどにいいですね」と教えてくれたのは山中油店の浅原孝専務。
オープン当初はカフェメニューだけだったが、2年ほど前から食事も提供するようになった。すぐ近くの本店で売られているさまざまな油を、実際に味わってもらうためだ。
「幸い、油は売るほどありますからね。店ではパンにつけて試食していただいていますが、せっかくならお料理も食べていただきたくて」と笑う。
揚げ油は常時5種。冒頭の「なたね赤水」のほか、「あっさりなたね油」「コーンオイル」などを季節にあわせて使う。矢野憲司店長によると、秋も深まるこの時期はふくよかで香りが高いタイプがいいそうだ。
綾綺殿の1番人気はというと、やはり日本人が大好きな、とんかつだろう。しっとりと軟らかい高知県産の四万十ポークを使い、「なたね赤水」でカラリとコクのある味わいに揚げる。衣はサクサク、肉汁がじゅわ~としみだし、軽いのに味に深みがある。
「油は裏方ですからね。家で使っていただくと、はっきりと違いがわかります」と浅原さん。もちろん、ソースにもこだわりがあった。写真は「オレンジ風味のとんかつソース」(おろしポン酢、自家製デミグラスソースから選べる)で、本場イタリアで探してきたソレントの「オレンジオリーブオイル」を使ったもの。さわやかなかんきつ系の香りがいっそう食欲をそそる。ほかに「レモンオリーブオイル」もあり、現地産のオレンジやレモンの香り成分をオイルに移したものだ。ホタテなど魚介類のソテーやサラダにもあうという。
と、店内を見回すと、入り口にずらりと並んださまざまなオイルにこんなポップが付いていた。「ドレッシングに使用中です」とあるのは、オーロドルチェ(カラブリア州)というオリーブオイル。「ピリっとした刺激の中にナッツのような味わいが交錯し…」と説明があった。「ポテトサラダに使用中」と書かれたオイルもある。実際に食べてみて、気に入れば使ってみてください…というわけだ。
ちょっと変わったメニューがあるというので、紹介されたのがこれ。綾綺殿自慢のデザート「すごい!バニラアイス」。トッピングは、プレーン・レモン・オレンジのオリーブオイル、ごま油、落花生油の5種から選べるようになっている。意外な組み合わせだが、香りが良くてとろりとした舌触りも美味。美容や健康にいいとされるオリーブオイルだが、「せいぜいドレッシングか炒めものしか使わない」という人にもおすすめ。利用の幅がぐっと広がりそうである。
ところで、「綾綺殿」という名前にはとびきりの由緒がある。実はこの場所、御所が現在地に移る前の平安~鎌倉時代、平安宮があった場所。その内裏にあった綾綺殿跡なのだ。宴が催されるときには舞台を設け、女性が舞を舞ったという。店の表にはその石碑が建っている。(文:山上直子/撮影:恵守乾/SANKEI EXPRESS)