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梅酒 味、原料にこだわる「本物志向」へ ブーム落ち着き原点回帰

ニュースカテゴリ:暮らしの余暇

梅酒 味、原料にこだわる「本物志向」へ ブーム落ち着き原点回帰

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「中野BC」の梅酒の製造工程。同社は梅の収穫年による味わいの違いを知ってもらおうと、熟成させた梅酒のほか、梅を取り出してすぐ瓶詰めした「梅酒ヌーボー」も販売している  日本を代表するリキュールの梅酒。10年前からのブームで種類が多様化し、作り手も大手メーカーから小さな酒蔵まで広がった。ここにきて市場拡大が落ち着き、業界では味や原料にこだわる消費者の「本物志向」を意識。「造れば売れる時代」からの転換を指摘する意見もある。(寺田理恵)

 多種多様

 「量を売る商売から味にこだわる本物志向に移っており、梅の実にこだわった商品が安定して売れる」

 ブランド梅「南高梅」の産地、和歌山県の酒造大手「中野BC」(海南市)の中野幸治副社長はこう話す。梅酒は6月頃、収穫される梅を酒と砂糖で漬け込んで造る。同社では、漬け込んだ実を半年後に取り出した後、蔵で熟成させるが、取り出してすぐ瓶詰めした「梅酒ヌーボー」を平成23年12月からこの時期に販売している。

 ワインのように収穫年によって味わいが異なることを伝える狙いがある。3回目の今回は、昨夏の高温などで酸味と甘みが凝縮した大きな実がなり、酸味のしっかりした濃厚な梅酒ができたという。

 「熟成させる前のフレッシュな新酒は梅本来の味わいが出る。熟成した梅酒と比べ、違いを味わってほしい」と中野さん。中野さんによると、「本物」を知り、こだわりを持つ人が増えている。自分で梅酒を漬ける人も増え、同社が開くセミナーが好評だという。

 梅の名所「偕楽園」(水戸市)の観梅時期に合わせ、3月上旬に開かれる「水戸の梅まつり梅酒大会」では2年目の今年、梅酒を原料の違いによって、(1)蒸留梅酒(2)醸造梅酒(3)ブレンド梅酒-の3部門に分けて審査することが決まった。主催する水戸観光協会は「多種多様な梅酒が生産、販売されるようになった。味わいの違う梅酒を分け、より良い審査をしたい」と説明する。

 同大会は地元酒蔵が手掛ける梅酒の評価が高まったのがきっかけで昨年、東日本初の全国規模の梅酒大会として始まった。全国から150を超す銘柄が集まり、今年はさらに多くの銘柄が参加する予定だ。

 原点回帰

 梅酒人気で造り手が広がり、地酒で漬ける酒蔵が増えている。漬け込む酒は、果実酒では一般的なホワイトリカー(甲類焼酎)のほか、蒸留酒の乙類焼酎やブランデー、醸造酒の日本酒、ワインなども使われる。

 「梅酒に明確な定義はない」と指摘するのは、梅酒コンサルティング「ブルーダイヤファクトリー」代表で、「梅酒ソムリエ」の金谷優さん。金谷さんによると、ここ数年は梅を少なくして酸味料を使うことで原価を抑えた製品が増え、消費拡大につながった。しかし、ブームが落ち着き、その年収穫した梅と酒と砂糖で漬ける梅酒への「原点回帰」が起きている。業界では日本酒の定義や分類のように種類を整理しようという機運が盛り上がっている。

 金谷さんは「特に海外に輸出するには分かりやすく表示する必要がある。造れば売れる時代から、日本の梅酒とは何かをつくり上げる時代になった」と話している。

 ■23年出荷は16年の2倍だが頭打ち傾向

 梅酒(非発泡性)の出荷量は平成16年頃からのブームでほぼ倍増した。

 梅酒は酒税法上、リキュールに分類される。日本洋酒酒造組合(東京都中央区)が組合員からの報告を基に集計した組合統計によると、炭酸ソーダを加えない非発泡性の梅酒の出荷量は、16年の約2000万リットルから23年の約3900万リットルへと急拡大。ビール会社が参入し、紙パックでスーパーなどの店頭に並ぶようになったことが市場の拡大につながった。しかし、24年は約3800万リットルと、対前年比2.3%の減少となった。

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