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リケジョたちの世界観 女性研究者「俳優よりも菌の方が“男前”」

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リケジョたちの世界観 女性研究者「俳優よりも菌の方が“男前”」

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顕微鏡をのぞく守茂山礼乃さん(手前)と新居由莉さん。研究に打ち込む目は真剣そのもの。時代はリケジョに「追い風」となり、活躍の場は着実に広がっている=大阪府吹田市の関西大  「どうして煙は上に昇るの?」「なぜ人間はくしゃみをするの?」

 多くの人が「常識だから」と片付ける現象を不思議に思い、科学という学びの道につなげた女性たちに注目が集まっている。

 理系の研究に打ち込む女性を指す「リケジョ」という言葉も市民権を持つようになった。今年に入り、週間平均視聴率が20%を超えるNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」のヒロイン「め以子」の長女で、物理を愛する「ふ久」や、新しい万能細胞といわれるSTAP細胞を作製した理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子さん(30)といったニューヒロインがフィクションの世界と現実世界で登場。後に続くリケジョたちの“追い風”になっている。

 煙を見たかった

 ドラマ「ごちそうさん」で、「め以子」は子供の頃、寺からイチゴを盗んだり、鶏小屋から卵を盗んだりと、食べ物に興味津々なお転婆な役柄だったが、その長女の「ふ久」は学校の2階から石を投げ、友人にけがをさせたエピソードが登場するやんちゃな娘だ。しかも、石を投げた理由は「投げてへん。落ちひん石探してたんや」という不思議なものだった。

 別の日は、タバコから立ち上る煙に興味を持ち、校庭で布などに火を付けて煙を鑑賞。ぼやを出しそうになり、しばらく学校を休ませられる事態にもなった。しかし、これらの行動は、重力や浮力といった物理の法則を子供なりに実験していたもの。物は上から下に落ちるのに、なぜ煙は上に昇るのかが知りたかったのだ。

 そして、女学生となったふ久は、食事中も証明問題を解いているという、物理のみに興味を示すというリケジョに成長する。今後、どのような人生を歩むのか注目が集まっている。

 また、高校生以降のふ久を演じるのは、ドラマ初出演の若手注目女優、松浦雅(みやび)さん(18)で、その新鮮な魅力と、ふ久の「不思議ちゃん」ともいえる役柄のギャップがインターネット上などでも話題を呼んだ。

 そして、その松浦さんがドラマに登場した2日後に日本中をかけめぐったのが、30歳の女性による万能細胞「STAP細胞」作製成功のニュースだった。

 リケジョの星

 STAP細胞の生みの親で、「リケジョの星」として一躍脚光を集めたのが、理研研究ユニットリーダーの小保方晴子さんだった。

 酸の刺激だけで細胞を初期化するという、従来の科学の常識ではあり得ない方法を思いついたしなやかな発想力と、一度は英科学誌ネイチャーに論文の掲載を却下されてもあきらめずに研究を続けた熱意。その一方で、会見には今風の女性らしいチャーミングな容姿で登場したかと思うと、日本古来のかっぽう着を着て研究に向かうという“ハイブリッド”な女性だ。昔ながらの「地味」「勉強ばかりしていそう」という理系女子の固定観念を覆した。

 小保方さんの登場は、研究成果はもちろんのこと、実験室の壁紙を塗り替えたり、机にキャラクターグッズを並べたりといった女性らしい面も取り上げられた。

 親族ら友人など周辺への取材も過熱した。小保方さんは、理研を通じて研究と関係のない取材の自粛を求めるほどで、数年前から広がり始めた「リケジョ」という呼称を強く印象づけた。

 「菌」は“男前”

 小保方さんらの活躍は、現役の女子学生にも力を与えている。

 関西大大学院理工学研究科で薬剤耐性菌を研究する守茂山(すもやま)礼乃さん(24)は「こんな簡単なことで万能細胞ができたのかという驚きと、私と年齢もそう違わない女性による成功ということで、二重に驚きました」と衝撃を受けたという。

 子供の頃から理科が好きで、母親にねだって分厚い図鑑を買ってもらった。植物、昆虫、ロボット、車…。植物の成長や星の誕生の仕組みなどが子供向けに解説され、飽きることなく読みふけった。高校入学後も、生物を学びたいと迷わず理系を選択。研究職に就くことを目指し、大学院まで進んだ。

 耳にはピアスがいくつも輝き、若い女性らしいルックスの守茂山さんだが、やはりリケジョ。「研究で黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカスアウレウス)を使うのですが、菌に『オーリー』と愛称を付けています」という。

 オーリーと呼ばれるハリウッド俳優のオーランド・ブルームさんより菌の方が「男前」といい、顕微鏡をのぞいては「きょうも男前に生えてるな」と確認するのが楽しいという。

 同じ研究室で、微細藻を用いたバイオディーゼル燃料の研究を進める新居由莉さん(23)はドラマ「ごちそうさん」のファンで、「私も子供の頃から、なぜ人はくしゃみをするのか、なぜ人は生きているのか知りたかった。ドラマを見ていて、ふ久の気持ちが分かる」と話す。

 男女比が3対2という研究室には、ぬいぐるみやディズニーグッズなどが置かれていた。「時には深夜まで長時間を研究室で過ごすので、好きな物に囲まれて少しでもリラックスしたいんです」と2人は口をそろえ、小保方さんの研究室を彷彿(ほうふつ)とさせた。

 「リケジョ」という取り上げられ方をした小保方さんの報道について、守茂山さんは「理系では、やはり女性の研究者は少ない。『女性だから』『女性なのに』といった見方をされることはある」と話し、女性研究者がまだまだ珍しい存在であるとした上で、こう展望を語った。

 「これから女性の研究者が増え、珍しいという取り上げられ方が少なくなるよう私たちも頑張りたい」

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