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「位牌・布施」寺とのトラブル多発 値段あいまい、あてにならない見積もり

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

「位牌・布施」寺とのトラブル多発 値段あいまい、あてにならない見積もり

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ずらりと並んだ位牌。戒名が入れられ、故人にとっては魂のよりどころとなり、遺族にとっても供養のよりどころとなる  もうすぐお盆の季節。仏壇にご先祖さまが帰ってくる。位牌(いはい)に書かれている戒名、戒名料(布施)。自らの終活や親の最期にとって大きな問題だ。値段が張れば、葬儀の準備資金や相続にまで影響する。自己流でことを運べば、寺とトラブルになりかねない。終活の中で戒名や布施を考える際のポイントを整理した。

 多くが戒名をもらう

 文化庁によると、日本の宗教は神道系が計約1億600万人、仏教系が計約9600万人、キリスト教系が計約200万人。合計が実際の人口の倍近い2億人を超えることはよく知られている。神社に初詣、お盆や彼岸はお寺に、クリスマスは教会といった具合に宗教が日常生活や冠婚葬祭に密接に関係している。

 これを葬儀に限って見ると、日本で行われる葬儀は90%超が仏式で行われ、神道式が2%、キリスト教式が2%、残りが無宗教式などその他の形だという。仏式の葬儀では戒名をもらうことが基本だ。終活を考えるうえで戒名は9割近くの日本人に関係するテーマだということになる。

 一方で、平成24年に実施されたある調査では、自分の葬儀を仏教式で行うときに「戒名が必要ない」という人が43%にもなった。つまり、日本人の4割程度は戒名は必要ないと思っているのに、仏式で葬儀をして戒名をもらっていることになる。戒名がどんな意味を持ったものなのかを理解していない人も多い。

 しぶしぶ戒名をもらうのだからトラブルも多く発生している。終活をする自分だけでなく、遺族や親族がトラブルに巻き込まれることも少なくない。

 自分でつけられない

 最近のエンディングノートの中には戒名についてリクエストを書く欄があるものがある。そこには「戒名につけたい文字」「戒名のランクの希望」などが書き込めるようになっている。

 しかし、仏教の考え方では、戒名をつけるのは僧侶。宗派によって、戒名の構造や使える文字などに決まりもある。本人や遺族の希望を聞くことはあっても最後に決めるのは僧侶の仕事なのだ。

 「自分らしい最期を迎える」ためにさまざまな準備をすることは終活にとって大切なこと。しかし、戒名には故人の遺志や遺族の考えでは、どうにもならない部分がある。ゴリ押しするとトラブルになりかねない。遺族が困ってしまうケースも出るだろう。

 ネット上でも??

 戒名や布施の値段ほど実態が見えないものはない。教義のうえ、あるいは建前のうえでは「お気持ちで」ということになる。最近になってインターネットでは戒名や布施にかかる実際の値段や目安が各所に露出するようになった。だが、同じランクの戒名の目安でも、数万円と書いてある所もあれば、数十万円を提示している所もある。

 遺族の立場からすれば、故人が亡くなって数日しかたっていない悲しみの中で難しい判断を迫られることになる。そして、後悔につながるケースもある。

 葬儀代が準備できない

 「せめて自分の葬儀代ぐらいは残しておきたい」。終活をする際、そう考える人は多い。

 「葬儀代を準備したいが、戒名(布施)の値段ってどう考えたらいいんだろう?」。東京の下町エリアにある病院に胃がんで入院している男性が、最近、病院のベテラン・ソーシャルワーカーに漏らした言葉だ。男性は既に妻を亡くしており、容体が急変したときには都内に住む姉が駆け付けることになっている。

 できるだけ姉の負担を少なくしたいと考えているのだが、戒名の値段の見通しが立たず、困ってしまったのだという。「こういう相談はたまにあります」とワーカーは言う。

 戒名や布施を除いた葬儀費用の見積もりは、インターネットや葬儀社が出している資料などを見ればメドが立つ。しかし、戒名だけは見積もりがあてにならない。10万かかるのと100万かかるのとでは、自分の終活が大きく狂ってしまう。

 これらのことから戒名をどう考えるかは終活にとって大きな問題だ。(『終活読本ソナエ』2014年夏号に詳細を掲載)

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