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経験生かし第二の人生 シニアの海外ボランティア

ニュースカテゴリ:暮らしの生活

経験生かし第二の人生 シニアの海外ボランティア

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ベトナムのコンサルティング先の縫製メーカーから記念品を受けた中田英機さん(中央)(中田さん提供)  定年退職後、第二の人生をどう過ごすか。現役時代に得た技術や知識を生かしたいと考えるシニア世代は多い。日本での経験を生かし、現地の人とともに課題を解決する発展途上国での海外ボランティアは、旅行では得られないやりがいや達成感があるという。(油原聡子)

 通訳付きも

 シニアの海外ボランティアは、国内にいくつかの派遣団体があり、それぞれ条件や求められる能力はさまざまだ。

 国際協力機構(JICA、(電)03・5226・9813)のシニア海外ボランティアは春と秋に募集。対象は40~69歳で、活動分野は行政サービスから農林水産、保健・医療、スポーツまで幅広い。今年3月末現在、59カ国に461人を派遣(平均年齢60歳)。期間は原則2年だ。

 語学力はTOEICの場合、最低330点が必要。しかし、応募案件に応じて日常会話程度から十分なコミュニケーションができるレベルなど目安が設定されている。案件によってはスペイン語やフランス語の能力が必要だ。生活費用や往復の渡航費用などが支給され、扶養家族と一緒に渡航することも可能だ。

 JICAの永野りささんは「現地の人と衣食住をともにし、当事者として解決策を見つけていきます。観光やロングステイでは得られない、やりがいがあります」と魅力を説明する。

 語学力に自信がないが、熱意があるという人には技能ボランティア海外派遣協会(NISVA、(電)03・3506・7300)もある。同協会は日本財団の支援を受け、平成16年12月に設立。現地では通訳が付く。小柳津浩之事務局長は「自動車整備から溶接、縫製、農業指導まで求められる能力は幅広い。主婦の方が縫製や料理を生かして赴任した例もあります」。

 条件は原則として派遣時点で50~69歳、健康、家族の賛同など。派遣先はフィリピンやインドネシアなど東南アジアが中心で、25年12月末までに累計273人を派遣、うち女性は3~4割に上る。期間は原則1年、最長で2年。小柳津事務局長は「楽しいことばかりではないが、多くの苦労が笑顔に変わります」と話す。

 柔軟な姿勢で

 短期派遣の団体もある。日本シルバーボランティアズ(JSV、(電)03・5835・5735)は中国政府関係機関と提携し、中国への1週間から10日程度の短期派遣を実施。果樹や野菜の栽培方法など農業関連が多いが、生産管理や汚水処理などの技術者も派遣している。ベトナムなど東南アジアを中心に原則1年で日本語教師も派遣している。

 各団体では派遣前の研修などを通じ、現地事情を説明している。ごく少数だが、海外生活が合わなかったり、健康に問題が出たりして帰国する人もいる。発展途上国に派遣されるため、日本とは事情が違うことも十分に理解しておいた方がいい。

 JICAの永野さんは「日本とは物事の進め方が違う。異文化を受け入れ、『日本はこうだから』ではなく、相手を尊重し、チャレンジ精神のある方が向いています」と話している。

 ■ベトナムに派遣された中田さん「現地の人が身近に」

 静岡県三島市の中田英機さん(72)は平成20年から2年間、JICAのシニア海外ボランティアとしてベトナムに派遣された。

 現役時代は素材メーカーの生産部門で品質管理や生産管理に従事。アジアでの勤務経験もあった。「東南アジアで仕事をしていたことがあり、また、海外での仕事をやってみたいと思っていました」

 アパートで1人暮らしをしながら、不良品が多い工場で品質向上の指導や納期が遅れていた玩具会社の生産計画をアドバイス。ボランティア生活は会社員時代と違ったやりがいがあり、「組織の一員として海外に赴任していたときはつきあう人が限定されていた。ボランティアでは、いろいろな人と接し、たくさんの経験が積めた。より現地の人たちが身近になった」。

 ■夫婦でフィリピンへ、奥本さん「成長を目にし喜び」

 京都府宇治市の奥本静子さん(69)は平成22年6月から2年間、NISVAを通じてフィリピンでのボランティア生活を経験。現地ではミシンの使い方など縫製技術を指導した。

 奥本さんは手仕事が得意で、手工芸の指導をしていた経験があった。「自分の技術が役に立てたら」と考えていたところ、NISVAを知り、登録した。

 夫婦で赴任。夫の勝さん(74)は1年目は同行という形で、2年目はNISVAのボランティアとして滞在した。日本と違い、時間や約束を守らないなどのんびりした文化に戸惑うこともあったが、「日本の当たり前は通じない。こんなものだ、と慣れてしまえば大丈夫でした」(奥本さん)。現地の人がミシンをかけられるようになるなど成長を目にしたときに喜びを感じた。

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