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70歳以上の傷害保険、年々増加 足の骨折に厚めの補償も

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70歳以上の傷害保険、年々増加 足の骨折に厚めの補償も

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高齢者のけがは介護が必要となる原因にも(本文とは関係ありません)  70歳以上の人を対象とした傷害保険がここ数年、増えている。持病があっても入りやすく、足の骨折を厚めに補償するなど高齢者のニーズに対応したのが特徴。ただ、増加の背景には70~74歳の高齢者の医療費負担増もあるようだ。(寺田理恵)

 けがに備える

 損害保険各社が扱う傷害保険は、けがに備える保険。けがによる死亡や入院・通院などに保険金が支払われる。

 日本損害保険協会の広報担当者は「生命保険との違いは病気を補償するかしないか。保険料はリスクに見合った料率で設定される」と説明する。

 一般に生命保険は、病気が原因でも補償対象となるため、加入時の年齢制限や健康状態の告知があるなど、高齢者が入れない場合がある。高齢になると病気のリスクが高まり、保険料率も高くなる。これに対し、損保の傷害保険は病気のリスクをカバーしないため、健康状態の告知を求められず、保険料率も低く設定される。

 例えば、損害保険ジャパン日本興亜(東京都新宿区)の「THEケガの保険まも~るプラン」は70~89歳が加入できる傷害保険。契約者の職業の危険度によって保険料が違い、けがの補償のみの基本補償プランの代表例(死亡・後遺障害300万円、入院日額5千円など)は無職の場合、月払い保険料は1750円となっている。

 要介護の原因に

 高齢者にとって、けがが生活に与える影響は小さくない。特に足の骨折は寝たきりにつながりかねず、この部分をより厚く補償するタイプの傷害保険もある。

 あいおいニッセイ同和損害保険(東京都渋谷区)が70歳以上向けに販売する「ケガの保険S」は、けがの部位・症状や治療日数に応じて保険金が支払われ、足の骨折・脱臼の場合は一時金10万円が追加される。実際に負担した医療費や長期入院の補償は特約でつける仕組み。「シンプルで迅速な支払い方が特徴。足の骨折だとタクシー代が必要になる場合があるので一時金を役立てて」(広報担当者)

 厚生労働省の患者調査(平成23年)によると、骨折による入院患者数は70歳以上が全体の約77%。同省の国民生活基礎調査(25年)では、介護保険法の要介護や要支援と認定された人の、介護が必要となった主な原因は、(1)脳血管疾患(脳卒中)18・5%(2)認知症15・8%(3)高齢による衰弱13・4%(4)骨折・転倒11・8%(5)関節疾患10・9%-の順に多かった。70歳以上を対象にした傷害保険は、この世代のニーズをすくい取ったといえそうだ。

 こうした保険が増えている背景の一つとして、公的保障の見直しにより医療費の自己負担が増えていることへの不安を指摘する意見もある。

 ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんは「高齢者は情報を得る機会が少なく、医療費の負担増に不安を感じる人がいる。民間保険への加入で安心感を得られるかもしれないが、公的保障で賄われる部分は大きい。公的保障がどの程度か確かめた上で加入を検討すべきだ」と話している。

 ■70~74歳の医療費負担増

 70~74歳の人の医療費は、窓口負担が今年4月に1割から2割へ変更され負担増となっている。平成18年の法改正で20年4月から2割とされたが、特例措置で1割に据え置かれていた(現役並み所得者は3割)。しかし、今年4月以降は新たに70歳になった人から順次、本来の2割に戻されている。それでも、70歳になれば70歳未満の3割より軽くなる。今年3月までに70歳になった人は1割のままだ。

 医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度もある。70歳以上の上限額は、所得に応じて月8000~4万4400円(外来の場合)など70歳未満より低い。ただ、70歳以上の人にも支払い能力に応じた負担を求めるべきだとの議論がある。

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