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「地方創生」出版界でも注目 「里山資本主義」火付け役…「五輪」追い風

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「地方創生」出版界でも注目 「里山資本主義」火付け役…「五輪」追い風

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 地方の人口減少問題や景気回復の遅れが指摘され、地方の再生が議論される中、出版界でも「地方創生」関連本の刊行が相次いでいる。2020年の東京五輪開催が決まり、円安もあって外国人観光客が増えていることも、地方にスポットライトが当たる一因となっているようだ。(溝上健良)

 近年、地方を「地元」としてとらえる見方が注目されている。今年1月刊行の『ヤンキー経済』(幻冬舎新書)は、上京を目指さず、地元に残ることをあえて選択する新保守層ともいうべき若者たちに着目した。『「地元」の文化力 地域の未来のつくりかた』(河出書房新社)は、経済、社会、農政など多分野の研究者がフィールドワークやデータをもとに、地域の文化活動が「地元」意識の形成にどのような役割を果たしているのかを探った一冊。

 「地元」が注目される一方、外国人観光客を地方へ呼び込む動きが進んでおり、関連書籍の刊行も相次いでいる。きっかけは2020年五輪の東京開催決定だ。『日本人だけが知らない「ニッポン」の観光地』(日経BP社)によると、訪日観光ビジネスはいま沸騰状態にあるという。著者で経営コンサルタントの水津陽子さんは「これまで観光とは無縁だった企業も訪日市場に可能性を見いだし、続々と参入。取り組みが遅れていた地域もようやく重い腰を上げつつある」と同書で指摘する。

 外国人に人気の観光地は岐阜・高山の寺院が立ち並ぶ地区や長崎の軍艦島など、日本人にとって意外な場所も多い。何が観光資源となりうるのか、どうすれば外国人を呼び込めるかのヒントが読み取れるだろう。中村好明著『インバウンド戦略』(時事通信社)の副題は「人口急減には観光立国で立ち向かえ!」。人口減少の影響が特に地方では深刻だとして、外国人観光客呼び込みの必要性を強調している。

 こうした地方創生関連本の代表格が、「新書大賞2014」の大賞に選ばれた『里山資本主義』(角川oneテーマ21)だ。30万部を突破した同書は、里山にある資源を生かして、過疎の進む田舎で豊かな生活を実現しようと提案。廃材をバイオマス資源として利用する街づくりで、新たな雇用や所得が生まれた岡山県真庭市の取り組みなど各地の成功例を紹介している。

 『日本農業への正しい絶望法』などの著書がある明治学院大の神門(ごうど)善久教授(農業経済学)は、地方創生本の相次ぐ刊行について「リーマン・ショックで商工業が大きな打撃を受けたことによって、現実逃避として地方や農業が注目された」と分析。そのうえで、地方でも近年、街が画一的になっていく「東京化」が進行しているとして、「日本独自の文化を生み出すためにも、地域ごとの自然を反映した文化を育むことが大事」と話している。

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