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「夢」と向き合う絵本 水野敬也さん作、鉄拳さんとコラボ

ニュースカテゴリ:暮らしの書評

「夢」と向き合う絵本 水野敬也さん作、鉄拳さんとコラボ

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「僕の本は本当は『卒業』してもらうのがベストなんです」と話す水野敬也さん  ■釣り合わない才能と欲望…そのひずみを埋めたい

 『夢をかなえるゾウ』『人生はニャンとかなる!』などのベストセラーを生んできたクリエーターの水野敬也さん(37)がパラパラ漫画で人気のお笑い芸人、鉄拳さん(41)とタッグを組んだ絵本『それでも僕は夢を見る』(文響社)を刊行した。誰もが人生のどこかで夢を見つけてかなえ、あるいはあきらめ、捨てる-。シンプルで短いストーリーだが、「夢との向き合い方」を伝える力強いメッセージが込められている。(戸谷真美)

 主人公の「僕」は第1志望の学校に入れず、好きな女性にも振り向いてもらえない。希望した仕事にも就けなかった。そんな彼を「夢」はずっと励まし続ける。だが、ついに彼は夢の存在に疲れ、夢を捨ててしまう。僕と、その人生に併走する夢を鉄拳さんがユーモラスに温かく描く。

 水野さんは「僕は夢を持つって苦しいな、とずっと思ってきた」という。「夢って恋愛に近い。人を好きになった瞬間、振られるか、うまくいくかの二択を突きつけられる。けれど、うまくいくことはほとんどなくて、傷つくことの方がずっと多い。こんなにしんどいのに、何でやるんだろうと自分でも疑問だった」

 ベストセラーを連発する水野さんだが、「何かをやろうと思ってすっとうまくいったことは一度もない」。中高は男子校だったが「勉強も運動も周りに負け続けたんです。本当は女の子と遊びたかったのに、仕方なくゲームセンターに通っていた」と笑う。『夢をかなえるゾウ』をはじめ一連の著書は、「天から与えられる才能はバラバラなのに、欲望は才能がある人もない人も同じだけ与えられる。そのひずみを埋めたい。顔を上げたら人生が変わっているようなものを作りたい」という水野さんの「夢」を形にしたものだ。

 作中、夢を捨てた僕は時をへて、孤独に死んでいこうとしている。そこに夢が再び現れて言う。「夢はかなうんだよ」。夢に励まされ、僕は一通の手紙を書き残す。ともすれば、陳腐にさえ聞こえるメッセージが鉄拳さんのイラストによって、まっすぐに心に届く。

 「シンプルだけど、そこに収まらない不思議な絵。直球で、ベタな物語だからこそ絵は難しい。鉄拳さんしかいないと思った」と水野さん。鉄拳さんは平成24年に出演したテレビ番組で紹介された、揺れる振り子のなかに夫婦の半生を描いたパラパラ漫画『振り子』でブレーク。ネット動画の再生が短期間で100万回を超え、日本漫画家協会賞特別賞を受賞。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」のアニメーションも手がけた。

 だが鉄拳さんもまた、漫画家やプロレスラーを目指して挫折し、お笑い芸人としても一度は引退を覚悟した経験の持ち主。夢を持つことのつらさを知るからこそ、シンプルな物語に込められたメッセージを温かく表現できるのだろう。

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