春闘、政労使の思惑に微妙なズレ 「ベア2%」空中分解の様相
更新ただ、給与を一律に引き上げるベアと、業績に連動し一過性の側面も強い一時金(賞与)とでは企業の負担に大きな違いがある。「2年連続のベアは企業にとって正直厳しい。15年春闘は数値よりも、ベアを実施できる企業がどれくらいあるかが焦点になる」(労働組合活動の経験者)との指摘もある。
もっとも、ベア2%の目標は賃金改善の旗印的な色合いも濃い。14年春闘で連合は「ベア1%」の要求を掲げたが、最終的には「何社がベアを実施した」「何社が賃金を改善した」と、目標とは違う物差しで妥結状況が評価されたのが実情。連合の関係者は「ベア1%は、底辺に張り付いた賃金を何とか持ち上げようというわれわれの思いを示しただけ」と振り返り、旗印の役割を果たしたと強調する。
14年春闘では、アベノミクスが目指す経済の好循環を実現するため首相自らが賃上げを求めると、労組だけでなく経営者も賛同。それぞれが「社会的責任」を口にしながら交渉を重ね、妥結後には勝利宣言をして大団円の春闘を演出してみせた。
