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開発進む新タイプの補聴器 第3の経路「軟骨伝導」に注目

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開発進む新タイプの補聴器 第3の経路「軟骨伝導」に注目

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 高齢化の進展に伴い、難聴者が使う補聴器の需要が増えている。そうした中、耳の軟骨を振るわせることで、音声をはっきりと伝える「軟骨伝導」という新たな方式の補聴器の開発が進み、注目を集めている。(坂口至徳)

 音圧増強効果

 音を聴く仕組みは、まず音が空気を震わせてその振動が鼓膜に伝わり、内耳の蝸牛(かぎゅう)部分で信号として神経に伝えられて脳で音として認知される。

 補聴器により音声を聞き取る仕組みは、2種類が知られる。補聴器によって増幅された音が鼓膜を振るわせる「気導経路」と補聴器の音声を振動に変換する振動子を頭蓋骨に当てることにより骨の中を通って、耳の奥の内耳に到達する「骨導経路」だ。

 これに対し、現在開発が進む軟骨伝導は「第3の経路」となる。骨導経路のように硬い頭蓋骨ではなく、耳を形作る柔らかい軟骨を振わせて外耳道内に音を発生させる。細井裕司・奈良県立医科大学長が平成16年、軟骨に振動子を当てると、骨導経路とは聞こえ方が異なることに気づいたことがきっかけだ。

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