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血管詰まる脳梗塞、新治療法に注目 血栓除去する器具で再開通率向上

ニュースカテゴリ:暮らしの健康

血管詰まる脳梗塞、新治療法に注目 血栓除去する器具で再開通率向上

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ソリティアFRを使った脳梗塞の治療を行う総合東京病院の手術室=東京都中野区  血栓により脳内の血管が詰まる脳梗塞。血流が途絶え、脳が徐々に壊死(えし)する病気で生命に関わる。発症後、早期の治療が必要で、一命を取り留めても、寝たきりになるなど重い後遺症に苦しむ人は多い。そうした中、血栓を除去する医療器具を使った新たな治療法が注目されている。(兼松康)

 死亡率は1割に

 脳梗塞を含む脳卒中は、「3大疾病」と言われ、長く日本人の死因としてがん、心疾患に次ぐ3位の座を占めていた。近年は肺炎に次ぐ4位。高齢化が進む中、患者は増えているが、「死亡者数は減っている」と、総合東京病院の渡辺貞義院長は指摘する。

 渡辺院長によると、脳の血管が詰まったり、破裂したりする脳卒中のうち、血管が詰まる脳梗塞は6~7割を占める。「かつては3分の1が死亡し、3分の1が寝たきりになり、社会復帰できるのは3分の1」と言われていた。現在は「治療技術の進歩もあり、5割が社会復帰し、何らかの後遺症が出るのが4割、死亡するのは1割になった」という。

 脳梗塞で死亡する人が減っている背景には新たな薬剤や医療器具の導入など治療技術の進歩がある。

 平成17年に血管内で詰まった血栓を溶かし、血管を再開通させる薬剤として「t-PA」が承認された。当初は発症から3時間以内の使用が条件だったため、受けられるのが発症者全体の5%程度にとどまっていた。しかし、その後の研究で発症から4時間半たっても治療効果が得られるとされ、24年に適用が発症から4時間半まで延長された。

 血栓をキャッチ

 その間、血栓を除去して血管を再開通させる医療器具も次々と開発されてきた。

 22年にカテーテルの先端のコイル状部分で血栓を絡め取る「メルシーリトリーバー」、23年に血栓を吸引して回収する「ペナンブラ」、そして25年には網目状の筒で血栓をかき出す「ソリティアFR」が国内で承認された。

 中でもソリティアFRは有望な治療法の一つとして注目されており、渡辺院長は「血栓をよくキャッチしてくれるので、再開通率が全体の9割前後まで高まった」と指摘。発症から8時間以内の治療が可能という。ソリティアFRは全国約250の病院で導入されている。

 治療技術の進歩で、死亡者が減っているとはいえ、脳梗塞を発症する人は増えているのが実情だ。「治療で大事なのは詰まった血管をいかに早く再開通させるか」と渡辺院長。家族などが倒れて脳梗塞の症状が表れたら、すぐに救急搬送してもらうことが重要だ。

 ■救急隊は簡易テストで脳卒中かどうかを判断

 救急隊が患者が脳梗塞を含む脳卒中かどうかを見分ける際に用いるのが「FAST」と呼ばれるチェック法だ。

 顔(Face)が左右非対称な動きをしている▽腕(Arm)の一方が上がらない、または上げたまま保持できない▽言葉(Speech)の発語が不明瞭、単語を間違える、うまく話すことができない▽発症時刻(Time)-の4つの言葉の頭文字を取ったものだ。

 顔、腕、言葉のうち、一つでも当てはまるものがあれば、脳卒中の可能性は72%とされる。

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