クルマ三昧

ハイパワーと省燃費を両立 日産の革命的「VCターボエンジン」

木下隆之
木下隆之

 100年を超える内燃機関の歴史の中で初となる「可変圧縮比エンジン」が、日産からデビューする。その名は「VCターボエンジン」。おそらく次期型「Xトレイル」に搭載されるであろうと想像するが、まだ公式なアナウンスはない。試乗車は、その次期型Xトレイルと思われるミドルサイズSUV。印象的なのはエンジンフィールの上質さである。直列4気筒1.5リッターの可変圧縮比ターボであり、最高出力204ps、最大トルク31.1kg・mを発揮。数値そのものは平均的だが、低回転から力強いトルクを絞り出す。力強さは格段に増した印象だ。シリンダーごとの爆発密度が整った感覚が際立っている。

 理想的な圧縮比にコントロール

 ただ、可変圧縮比エンジンの魅力はそこだけではない。燃焼効率の最適化が可能であり、ハイパワーと省燃費が両立できる点が最大のメリットなのだ。

 圧縮比とは、ピストンが上死点と下死点、それぞれの位置にあるときの燃焼室まで含めたシリンダー内の容積の比率のこと。ピストンが押し上げられ、上死点に達した瞬間にシリンダーヘッドとの隙間に生まれる燃焼室の容積によって圧縮比が決まる。燃焼室容積が小さければ高圧縮比となり、プラグによって点火されたときの爆発力は強くなる。大きければ逆に低圧縮比となる。一般的に高圧縮比になればパワーは増大する。

 ただ、現実的にはそう簡単ではない。圧縮比を高めれば理論的な燃焼効率は上がるものの、高圧縮比では、燃焼室に充満した混合気が自然着火してしまいプラグ点火する前に爆発してしまうため、意図したタイミングで燃焼させることができず、不利益が生じる。エンジンの損傷やパワーダウンをもたらす。一方で、高圧縮比にはメリットもある。燃焼効率が上がることで燃費には貢献する。

 このジレンマを解消したのが可変圧縮比VCターボエンジンといっていい。エンジン回転や駆動負荷に応じて適切な、理想的な圧縮比にコントロールすることができたのである。

 圧縮比のコントロール幅は、8.1から14.1である。パワー自慢の「GT-R」の圧縮比は約9.0であり、燃費自慢のマツダの新世代ガソリンエンジン「スカイアクティブX」の圧縮比は15前後である。ハイパワー車から経済車にまで対応可能なのだ。

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