真価は70年後に分かる?
その理由は、剛性に加えて修理性にある。いわば角材を格子形に組み合わせたはしご型ラダーフレームは、よしんば破損しても溶接すれば修繕できるという利点がある。世界各地の機材の整っていない場末の修理屋でも、簡単に直せるのだ。
搭載するエンジンは、V型6気筒ツインターボになった。電気系の補機類を高い位置に組み付けている。重量物を低く重心点に寄せるのは、操縦安定性のためには有効な手法だが、それよりもむしろ耐久性を優先したのだ。渡河深度は700ミリ。深い川を渡るには、ショートしやすい電気系は高い位置にあった方が都合がいい。
パワーステアリングは電動アクチュエーターを加えた油圧式である。高度運転支援技術を成立させるために電動パワーステアリングは不可欠であるため、現代のほとんどのクルマが電動式に改められている。ランドクルーザーとて例外ではない。だが、過酷な環境下では電動だけでは不安が残る。そのために油圧パワーステアリングを基本としたのだ。
ちなみに、フロントマスクのライト類も上端に集中させている。小さなフォグランプがアンダーフロア近辺に組み込まれてはいるものの、破損しても大事には至らない部品である。重要部品は、故障の可能性が低い上端に移しているのだ。
新型ランドクルーザーのキャッチフレーズは素直に心に響く。
「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」
これほどまで明確なメッセージがこれまであっただろうか。そう思ってネットを巡ってみると、いまにも朽ち果てそうな、骨組みだけのランドクルーザーが多く掲載されているのである。修理を繰り返しながら生きながらえているランドクルーザーの姿を見て心が熱くなる。
こういった試乗記を綴る仕事をしていると、まっさらの新型車をドライブしてインプレッションを寄稿する毎日である。だが、ランドクルーザーに関しては、70年間付き合ってみて、初めて正しく評価できる代物なのかもしれないと感じた。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。