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米国に押し寄せる中国人 米国籍求め「出産ツアー」など亡命ビジネス盛況

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米国に押し寄せる中国人 米国籍求め「出産ツアー」など亡命ビジネス盛況

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 中国の習近平国家主席(59)とバラク・オバマ米大統領(51)の2日にわたる初会談が6月8日、終了した。両政府が相互依存を強める中、民間の関係も複雑化している。いびつな独裁国家の将来に対する不安を持つ中国人富裕層は、自由の国、米国での生活という“保険”を、あの手この手で求め続けている。

 空き家に「ホテル」

 住民が異変に気付いたのは昨年8月だった。臨月になろうという中国人妊婦が突然、連れだって閑静な住宅街を毎日散歩するようになった。米西部ロサンゼルス近郊チノヒルズ。空き家だった豪邸が、いつの間にか中国人専用の“妊婦ホテル”に違法改築されていた。

 周囲を見晴らす小高い丘の頂上に建てられ、7部屋の寝室があった一軒家。その家を購入した中国人が、内部をバス・トイレ付きの個室17室にリフォーム。中国から訪米した妊婦を、多い時には30人も住まわせていた。

 だが、シャワーやトイレなどで大量の水を使用したため、下水管から汚水があふれ出し、丘を下って道路に流れ出す事態に。丘の中腹に住むテリー・ディルマンさん(60)は「とにかくひどい臭いがした。大勢の妊婦が何をしているのかも分からないし、不気味だった」と憤った。

 妊婦の目的は子供の米国籍取得だ。中国と比べ、チャンスに満ちた自由の国。米国は「出生地主義」のため、外国人でも米国内で出産すれば新生児に米国籍が与えられ、さらに子供が21歳に達すれば、両親も米国の永住権を得ることができるのだ。

 ビザ発給緩和で追い風

 「簡単に米国パスポートが取れます」「米国籍なら子供の可能性は大幅に広がります」。インターネットでは米国出産ツアーを募集する中国語のウェブサイトが無数にあり、魅惑的な言葉が躍る。入国審査で見つからないよう「ゆったりした服を着て行きましょう」といったアドバイスも。

 予定日の2カ月前に観光査証(ビザ)で訪米し、出産後1カ月で帰国する。費用は1万5000~2万ドル(約150万~200万円)。往復の航空券、宿泊費、食費、出産費用が含まれる。昨年2月に北京の米国大使館がビザ発給制限の緩和を始め、発給数が急増したことも追い風になっている。

 この“妊婦ホテル”は住民からの通報で当局の立ち入り検査を受け、昨年末に閉鎖された。それでも周辺には新たに別の部屋が準備され、ツアーは活況だ。34歳の中国人妊婦は「米国の最高の医療を受けるために来ただけ。何も悪いことはしていない」と強調。妊婦は今も米国に押し寄せている。

 (チノヒルズ 共同/SANKEI EXPRESS

 シナリオさまざまな亡命ビジネス

 民主活動家などになりすまし、米国籍を取得しようとする中国人を相手にした“亡命ビジネス”も盛んだ。

 「劉暁波はノーベル平和賞を受賞した著名な民主活動家」「天安門事件発生は1989年6月4日」。中国語の看板が並ぶニューヨーク市内のビルの一室で、中国の民主化運動に関する個人授業が受験勉強のように繰り返されていた。

 講師は在米の中国人民主活動家。「中国政府に迫害された民主活動家」という偽りの経歴をつくり上げて亡命申請し、米当局の面接審査をパスするための事前準備。申請理由にする「迫害ストーリー」は多種多様で、民主活動家や中国政府非公認のキリスト教「地下教会」信徒、女性なら、一人っ子政策によって第2子を強制堕胎させられたと訴える。

 民主活動家を演じる場合は面接前に著名な活動家と“証拠写真”を撮影。地下教会信徒なら実際に教会のミサに参加するなど、偽装工作も入念だ。

 違法申請にはニューヨークの複数の弁護士が関与。費用は1万~1万5000ドル(約100万~150万円)で、前金で1000ドル支払い、亡命が認められれば残りを成功報酬として払うのが一般的。協力してくれた民主活動家らにも多額の謝礼を支払う。高額だが、米国内での就職に失敗した中国人学生や、一獲千金を夢見て渡米した人々から引きも切らず依頼が舞い込む。

 だが連邦捜査局(FBI)は昨年12月、申請に関わった弁護士ら26人を逮捕。2011年以降、1000人以上もの亡命申請を手掛けた弁護士事務所もあった。

 11年10月から昨年9月までの1年間に米国亡命が認められた中国人は8601人。ニューヨークの中華街では他にも多数が亡命ビジネスに関与しているとされ、実態は深い闇の中だ。(ニューヨーク 共同/SANKEI EXPRESS

 ■戸籍取得 父か母の国籍によって子供がその国の国籍を得られる「血統主義」と、父母の国籍に関係なく生まれた国の国籍を得られる「出生地主義」がある。中国は血統主義、米国は出生地主義を採用しているため、中国人を父か母に持ち、米国で生まれた子供は両国の国籍を保有することになる。しかし中国政府は二重国籍を認めておらず、本来はどちらかの国籍を選ばなければならないが、米国籍を隠し持つ人も多いとされる。(チノヒルズ 共同)

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