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【勿忘草】食物アレルギー
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大阪本社発行の産経新聞生活面で、食物アレルギーの子供向けレシピ本「あんしん!おいしい!かめさきこども・アレルギークリニックのおうちごはん」(幻冬舎エデュケーション)を紹介した。著者は小児科・アレルギー科の専門医として大阪府豊中市で子供たちの診療に当たる亀崎佐織さん。2005年のクリニックオープン当時から“ママ友”の料理家、今田祐子さんとともにホームページ上でレシピを紹介してきたという。
レシピ紹介は、食物アレルギーの子供にどんな料理を食べさせればいいのかという母親たちの戸惑いを間近で感じ、思いついた。亀崎さんによると、少し前まで食物アレルギーの患者向け調理本は専門書のような体裁で、内容も難しいものばかりだったという。加えて「カエルの肉」など、普通にスーパーで売っていないようなものが登場するのだとか。料理上手ならともかく、そんな難しげな本しかないなかで、多くのお母さんたちは途方に暮れていたことだろう。
亀崎さんらのモットーは「簡単でおいしい」だ。母親の立場に立ってレシピを考案した。それはすべて、アレルギー物質を完全に排除しながら、身近に手に入る米粉や豆乳などをうまく使い、特別な調理手順も踏むことなく作ることができる。患者とその家族から「患者だけでなく、誰が食べてもおいしい」と好評を得ており、書籍化することになった。102点のごはんとおやつのレシピのほか、学校給食の事故で注目を集めた激しいアレルギー反応「アナフィラキシー」などもわかりやすく解説している。
レシピ本の端書きには、多くの子供の場合、食物アレルギーは成長するにつれて治っていくと書かれている。そのうえで、亀崎さんは次のようにつづっている。
「人生のはじめの少しのあいだ、お母さんが安全なものを選んで、工夫して、おいしい食事を自分のためだけに作ってくれるなんて、子どもたちにとってはどんなに豊かで贅沢(ぜいたく)な経験だろうと思います」
不便でつらい状況も、見方を変えれば豊かな時間になる。専門家の語る言葉は、不安に駆られるお母さんたちの心に頼もしく響くだろう。
(佐々木詩/SANKEI EXPRESS)