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入国許可後に取り消し? 嫌われた元CIA職員

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入国許可後に取り消し? 嫌われた元CIA職員

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 【佐藤優の地球を斬る】

 モスクワのシェレメチェボ空港の国際線乗り継ぎ(トランジット)エリアに滞在している元CIA(米中央情報局)職員エドワード・スノーデン氏(30)の一時亡命をロシア連邦移民局(FMS)が認めたという報道が7月24日、流れた。スノーデン氏は、この日のうちにロシアに入国するものとみられていた。しかし、FMSがスノーデン氏の一時亡命を認めたという報道を否定し、空港にとどまることになった。

 本件に関し、露国営ラジオ「ロシアの声」が25日伝えた「スノーデン氏のプランB」と題する論評(ボリーナ・チェルニッツア署名)が興味深い。

 「非典型的」な状況

 <スノーデン氏には現状、何もやることがない。ただ、将来の計画を立てるのみである。24日、シェレメチェボ空港の出口には、100人を超えるジャーナリストが集まり、スノーデン氏を待っていた。たとえFMSの許可が下りなくても、トランジットゾーン(すでに滞在1月以上になる)を出るための許可証が手に入っているはずであった。しかし現れたのはアナトーリイ・クチェレナ弁護士ひとりであった。弁護士は、「米国の元工作員氏はターミナルに留まっている」と述べた。遅延の理由は、スノーデン氏をめぐる状況が、非常に「非典型的」であり、時間がかかるからだ、と説明された。

 「FMSの決定ひとつにかかっている。FMSは本当は、3カ月間にわたってこの問題を審査する権利を有しているのだ。ロシアがこのような状況を迎えるのは初めてのことだ。この問題は時間を要する。それは移民局のスタッフにとっても同様だ。決定が下されるまでの間、スノーデン氏は、申請が審査中であることを証明する証明書が手渡されることになっている。それは今日明日にも発行されうる」(クチェレナ弁護士)

 クチェレナ氏は、いつその証明書が発行されるのかという点を、正確には予測しなかった。クチェレナ氏は語る。この件については、ひとつひとつの情報がかつてないほどの大騒ぎを引き起こし、疑惑や疑念を呼び起こしてしまう。それが事態の全体的経過に悪影響をおよぼしている、と>(japanese.ruvr.ru/2013_07_25/118549998/

 露大統領の懸念

 この解説を額面通りに受けとるならば、スノーデン氏の弁護人が「一時亡命審査中の証明書が一両日中に発行される」というフライング発言をしたことが、24日のスノーデン氏のロシア入国という誤報につながったということになる。筆者は、この説明に納得していない。FMSは一時亡命審査のために、スノーデン氏のロシア入国を認めるという決定を一度行ったが、それが大統領府によって覆されたのだと筆者はみている。

 それには2つの理由がある。第1は、一時亡命の審査であるという理由であっても、米国の激しい反発を招き、米露関係の悪化を招くからだ。

 第2はプーチン大統領が、インテリジェンス機関を裏切ったスノーデン氏を心の底から軽蔑し、嫌っているからだ。

 前出の論評では、<スノーデン氏は現在、ロシア語を勉強中であるともいう。スノーデン氏のプランの中には、ロシアで就職し、「どうにか生活を打ち立てる」、というものもある。しかしそれを具体的に表現することは、元CIA職員は避けている>という情報が披露されている。本人がどこまで自覚しているかを別にして、スノーデン氏は、国家や政府がなくても、人間は幸せに暮らしていくことができるというアナーキズム(無政府主義)と親和的な世界観を抱いている。プーチン大統領は、このような思想を持つスノーデン氏の亡命を受け入れると、ロシア国家に敵対するような活動を始めると懸念しているのであろう。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS

露国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)

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