SankeiBiz for mobile

ジョージ・クルーニー氏がソニー分割案を酷評 「何もわかっちゃいない。危険な存在だ」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

ジョージ・クルーニー氏がソニー分割案を酷評 「何もわかっちゃいない。危険な存在だ」

更新

 米国の俳優、映画監督で政治的活動にも熱心なジョージ・クルーニー氏(52)が、ソニーの大株主で米著名投資家のダニエル・ローブ氏(51)が率いるヘッジファンド「サード・ポイント」に牙をむいた。サード・ポイントはソニーに、映画と音楽に関する事業を担うエンターテインメント部門を分離・上場(分社化)するなどの経営改革を迫っているが、クルーニー氏は「ヘッジファンドの人間にこうした判断を下す資格は全くない。株を握っているというだけで、何もわかっちゃいない。われわれの業界にとって危険な存在だ」とまで言い切り、酷評した。

 最新作でタッグ

 クルーニー氏は、8月2日に公表された米ブログメディア「デッドライン・ハリウッド」とのインタビューで、ローブ氏及びサード・ポイントを激しく批判した。サード・ポイントは11億ドル(現在の為替レートで約1090億円)を投じてソニーの約6.9%の株式を取得。

 今年5月にローブ氏がソニーの平井一夫社長(52)に書簡を送り、「ソニーの全社的な成功を最大化するため、ソニーはエンターテインメント部門を分社化し、(本業である)エレクトロニクス事業の『多大かつ過小評価されている価値』を高めることに集中すべきである。提言に従えば、ソニーの株価は最大60%上昇するだろう」などと説いた。これに対してソニーは、「株主との建設的対話を重視し、検討はするが、エンターテインメント部門はソニーの成長にとって重要な事業であり、売却予定はない」との声明を発表している。

 クルーニー氏は、自身の映画製作会社であるスモークハウス・ピクチャーズがソニー傘下のソニー・ピクチャーズと組んで最新映画「ザ・モニュメンツ・メン(原題)」を製作したばかり。こうした事情からも、サード・ポイントに苦言を呈さずにはいられなかったとみられる。

 「ローブ氏は『物言う投資家』を気取っているが、私に言わせればただの山師だ。ヘッジファンドの人間は何ら雇用創設に貢献していない」と、クルーニー氏は怒りをあらわにした。

 作品伸び悩み

 さらに、ローブ氏の提言の背景には、ソニー・ピクチャーズの最近作「アフター・アース」と「ホワイトハウス・ダウン」の興行不調があったとみられることから、クルーニー氏は「2作品の興行成績が伸び悩んだからといってソニーの頭の皮を剥ごうとしているのか? 全くバカげており、(ローブ氏は)われわれのビジネスについて何も知らない。短期の利益に目がくらみ、株さえ持てばこの分野のビジネスにも口が出せると感じているに過ぎない」と憤懣(ふんまん)をぶちまけた。

 むき出しの資本主義

 ロイター通信によると、サード・ポイントの広報担当者は、クルーニー氏の発言に対するローブ氏のコメントはないとしている。

 米紙ウオールストリート・ジャーナルは「ローブ氏のソニーへの提言に従えば、アベノミクスと呼ばれる日本経済再生計画にとって不可欠の構造改革で、ソニーが先頭に立つことができる」と主張しているが、果たして今後、ソニーがどのような決定を下すのか注目される。

 そして、むき出しの資本主義に対するクルーニー氏の苦言は、噛みしめる必要があるだろう。(SANKEI EXPRESS

ランキング