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「LINE疲れ」に陥る学生たち(下) 「便利だけどもどかしい」直接話そうよ!

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「LINE疲れ」に陥る学生たち(下) 「便利だけどもどかしい」直接話そうよ!

更新

2013年1月に開かれた「LINE」の利用者1億人突破を記念するイベント。半年後の7月には1億人を突破し、破竹の勢いだ=2013(平成25)年1月18日、東京都渋谷区(産経新聞_渡部一実撮影)  【Campus新聞】

 いつでも、どこでも連絡が取れるのが当たり前の便利な世の中になった。だが、だからといって、コミュニケーションがスムーズになり、物事がうまく進んでいくかというと、決してそんなことはない。簡単に連絡がとれるのに、物事が進まないことが、かえって苦痛になっているようだ。

 表情がわからない

 アンケートでわずか2人(2%)しかいなかった、「LINEを使っていない」という学生にも話を聞くことができた。

 「なぜ使わないのか」という問いに、「LINEに限らず、メールそのものが好きではない」と答えてくれた。その理由は、「メールは文章という視覚的な情報だけに頼らざるを得ないからだ」という。「直接会えば、声や表情がわかり、相手と接しやすい。相手のことをきちんと観察して、理解することが難しいコミュニケーションツールは利用する必要はないと考えている」そうだ。

 メールが届けば返信はするが、自ら進んでメールのやりとりはしないという。「返信をしなければという気持ちになったり、返信に費やした時間でもっと他のことができたのではと考えたりして、疑問が湧いてくる」のだという。

 逆に考えれば、LINEやメールを使っている人にとっては、「早く返信しなければ」というせかされる気持ちになることが、精神的な苦痛や気疲れの原因になっていると言えるのではないだろうか。

 常に「交流」状態

 LINEとメールの最大の相違点は、メールの場合、送られてきたメッセージを自分が読んだかどうかを相手は知るすべがないのに対し、LINEは、メッセージを読んだ事実が相手に伝わることにある。

 その結果、「メッセージを読んだのだから、相手はすぐに返信がほしいだろう」と、気遣うことになる。そして、「早く返信しなければ」というせかされる気持ちも一層強くなる。便利な既読機能に、学生たちは振り回されているのである。では、どうやって既読機能と向き合っていけばいいのだろうか。

 Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、LINE…。次々と新しいSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)が登場し、直接会わなくてもコミュニケーションをとることができるようになった。その分、物事が進まないことへの、もどかしさも助長された。

 しかも、いつも友人や仲間と交流していないといけないことが、逆に重荷となり、押しつぶされそうになっているのではないだろうか。

 こうした気持ちの問題である“LINE疲れ”は当然、気持ちの持ち方次第で解消できると思われる。例えば、「すぐに返信できない時もあることは、相手も分かってくれる」というように割り切って考えれば、気持ちに余裕が生まれるのではないだろうか。

 さらに、LINE未使用の学生が答えてくれたように、「大切なことは電話や直接会って伝える」という機会をもっと増やしてみてはどうだろうか。

 あくまでツール

 アンケートから、SNSの普及は、利便性と引き換えに、ある種の精神的な苦痛を生んだことが浮き彫りになった。

 便利だけれども、物事がうまく進まないという、もどかしさは、実はコミュニケーションがうまく取れていないことの表れなのかもしれない。

 LINEに象徴される便利なツールとの付き合い方にとどまらず、コミュニケーションのあり方そのものについて考えてみる必要がありそうだ。(今週のリポーター:関西大学 谷本奈穂ゼミ 有志学生記者/SANKEI EXPRESS

関西大学 谷本奈穂ゼミ 有志学生記者

取材:浦上直樹、近藤里虹、鈴木智也、平尾眞子、矢竹和樹、佐々木百合

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