ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
国際
ウイグル族関与 計画的テロ濃厚 天安門車突入 習指導部への打撃狙う
更新
中国の首都北京の中心部、天安門前で起きた車両突入事件で、公安当局が新疆(しんきょう)ウイグル自治区のウイグル族ら計8人が事件に関与していると断定、「容疑車両」としてグレーや赤色の新疆ナンバー車両5台の行方を追っていることが10月29日、分かった。死亡した実行犯3人を含むとみられる。複数の中国筋が明らかにした。
関与した人数、車両数などから事件は、習近平指導部への打撃を狙った計画的で組織的なテロの可能性が濃厚。テロが確認されれば、首都で起きた事案としては過去最大規模となる。
中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)副報道局長は29日の定例記者会見で、車両突入事件について「調査中」と述べる一方、新疆ウイグル自治区で続発している暴力事件には「断固反対し、打撃を加える」と強調した。
中国筋によると、公安当局は北京市内の宿泊施設に「しらみつぶしに調べて情報を提供する」よう求める通知を出したほか、29日午後に観光業関係者を集めた緊急会議を開いた。習指導部は関係部門に捜査と対策の徹底を指示したもようだ。
当局は8人を「容疑者」として捜査している。突入した車両が事件の動機を示唆するスローガンを掲げていたとの情報もある。8人はいずれも新疆ウイグル自治区出身だが、本籍地はホータン地区グマ県やトルファン地区ピチャン県ルクチュンなどばらばらだという。
新疆ウイグル自治区では漢族とウイグル族の民族対立を背景に暴力事件が頻発しているが、北京の中心部で事件が起きたことで、中国指導部内に衝撃が拡大、ウイグル族やチベット族を含む少数民族への引き締めを強めるとみられる。
事件が起きた28日は、天安門から近い人民大会堂で習国家主席や李克強首相ら共産党最高指導部の政治局常務委員7人全員が参加する式典が開かれていた。指導者への不満を訴えるため、あえてこの日を選んで事件を起こしたとの見方も出ている。
北京の日本大使館関係者によると、事件で負傷した30代の日本人男性は上海在住の会社員で、歯を数本折るけがを負った。意識ははっきりしているという。(北京 共同/SANKEI EXPRESS)
≪民族対立、首都に波及 治安政策見直し要求も≫
近年、中国新疆ウイグル自治区で頻発するウイグル族による暴力事件が、中国政治の心臓部である首都、北京に波及したことで当局者らの間に衝撃が広がっている。
政府は国防費を上回る巨額の治安維持費を投入し続けているが、社会の不安定化は深刻さを増しており、力に頼る治安政策の見直しを求める声が強まりそうだ。
2009年7月、新疆ウイグル自治区ウルムチ市では漢族ら約200人が死亡したウイグル族の大規模暴動が発生。漢族とウイグル族の民族対立が鮮明になった。
中国当局は暴動後、少数民族の不満解消に向け経済面で優遇する一方、ウイグル族の居住地に武装警察を大規模に配置。日常行動を監視し、イスラム教徒のウイグル族の女性が着用するスカーフを「防犯目的」を理由に禁じるなど引き締めを強化した。
昨年11月の習近平指導部発足後、ウイグル族など少数民族の間では締め付け緩和への期待が高まったが、抑圧政策は変わらず絶望感が拡大。新疆ウイグル自治区では今年に入ってからも武装グループと警官らの衝突が相次いだ。
天安門前の車両突入事件発生後、北京市当局は警戒レベルを引き上げたとみられ、現場を中心に市内の広い範囲で銃を持った警官の姿が見られた。
北京の週刊誌の中国人記者は「これほどの治安維持費を使って、どれほどの意味があるのだろうか」と疑問を投げ掛けた。(北京 共同/SANKEI EXPRESS)