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【円游庵の「道具」たち】日本の美しい形をキャンドルに
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さまざまな形をしたアロマキャンドル。どこか見覚えのある形だと思いませんか。実はこれは、焼き物を作るときの石膏(せっこう)型で型を取ったものなのです。私たち丸若屋の品で、名前は「firefirefire」。
石膏型は、通常摩耗すると捨ててしまうのですが、型そのものはとても美しい。どうにかできないか…と考えていたときに、思いついたのが、これを使ってキャンドルを作ることでした。型もののキャンドルはたくさんありますが、もともと違う用途の型を使って作るのが、面白いのではないかと思ったのです。
とはいえ、キャンドルになりうる型を見つけるのは大変でした。結果たどり着いたのは、徳利や小鉢、湯呑みなどの型。焼き物としての用途を離れても成立する、形そのものの美しさを持っています。
実際に作ってみると、思いがけない面白さを発見しました。焼き物の型は、焼くと収縮するので、大きめに作っています。ですので、この型を使って作ったキャンドルは、身の回りにある徳利や小鉢と比べると、微妙に大きい。サイズ感のずれを楽しんでもらえたらと思います。
このキャンドルはフランスなど、ヨーロッパで展開していくことを考えています。日本の日常にある形を抽出して、キャンドルという形で伝える。
キャンドルは世界中にある、いわば共通言語です。しかも、器は使う時以外は戸棚にしまっていますが、キャンドルなら常に見えるところに置かれています。日本の文化に対して興味を持ってもらう、一番いい形の入り口なのではないでしょうか。
実際に9月にパリで開かれた展示会で現地の人に紹介しましたが、「すばらしい!」と好評でした。日本の伝統的な形の美しさが海外でも受け入れられることを実感しました。
暗い中でキャンドルに火をつけると、形そのものが浮かび上がって、とても美しいです。キャンドルならではの楽しみ方だと思います。
キャンドルであることの必然性は、ほかにもあります。それは「時間」。都会では、時の流れを体感することは難しくなっています。光の移り変わりも、ビルの中にいては感じることはできません。でも、私は時の流れを体感することが、生の実感につながるのではないかと思っています。時を感じることで、とても心がリラックスした状態になる。
リラックスしてもらうため、香りもヒノキや竹、蓮と、自然を表現したものにしてあります。ヒノキの香りは海外の人には強すぎるかな…と心配していましたが、意外とスタンダードな香りのようです。
かつて、お香やロウソクは、時間を計るための道具でもありました。焼き物の型は、積み重ねられた時間の結晶です。その型で作ったロウソクに火をつけると、形が変わります。数百年の時の結晶を、自分の中に取り込むことができるのです。
あと一月あまりで今年もクリスマスがやってきます。このキャンドルをギフトとして選んでもらえればうれしいですね。大切な人に何かをプレゼントするときに、日本のアイデンティティーが込められたものを選んでほしい。品物を渡すだけでなく、一緒にストーリーも話すことができる。コミュニケーションツールとしても機能するギフトだと思います。「時間」という詩的なプレゼントはいかがでしょうか。(企画プロデュース会社「丸若屋」代表 丸若裕俊 談/SANKEI EXPRESS)