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ハロウィーンで巡る「110番の家」
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仮装した子供たちが家々を訪ねてお菓子をもらう10月31日の欧米の祭り「ハロウィーン」を、高齢者の見守りや子供の防犯に生かす取り組みが広まっている。小さな魔女やお化けたちが、高齢者宅や「子ども110番の家」を巡る。遊び心で地域のつながりを深めるのが狙いだ。
「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないといたずらするぞ)」。東京都杉並区のデイサービス施設。仮装した子供たちが合言葉を唱える。お菓子を渡した村松弥寿子さん(93)は「ハロウィーンなんて初めて。でもひ孫みたいな子供たちとふれ合えて幸せです」と顔をほころばせた。
杉並区の一時保育施設「ひととき保育八成」が(10)19日の日中に開いたハロウィーン行事。地域交流のため2009年に始め、今年は未就学児ら約200人が保護者と共に地域の高齢者や民生委員の家など8カ所を訪ねた。両親と弟と参加した杉本日向ちゃん(4)は「お菓子をたくさんもらえた。早く食べたい」と笑う。「世代を超えて交流できた」「地域の高齢者にあいさつできるようになった」と保護者たちにも好評だ。
ハロウィーンの機会に、危険な目に遭ったときに助けを求める「子ども110番の家」を、子供に知ってもらう試みもある。千葉県鎌ケ谷市の青年会議所は07年から、子供が110番の家を訪ねてお菓子をもらう行事を企画している。昨年は約100人の小学生が仮装して街を歩いた。
小沼建志理事長は「参加しない子供にも分かるよう、通学路にある110番の家は本番前から地元産のカボチャで飾り付けをした」と話す。神戸市北区の桜の宮児童館も、11年から地域の高齢者宅と110番の家などを巡る企画をしている。
ハロウィーンを楽しむ人は徐々に増えているようだ。東京都渋谷区の100円ショップ「ザ・ダイソー原宿店」の一角には9~10月にかけ、魔女のほうきやマント、悪魔の角など約300点のハロウィーン商品が並ぶ。
「最初はマントと帽子くらいしか扱っていなかったが、5年ほど前から商品を大幅に増やした。売り上げは昨年から30%伸びた」と大創産業(広島県東広島市)で原宿店を担当する片山淳さん。
街づくりに関する情報提供をする「子ども安全まちづくりパートナーズ」代表理事の山本俊哉明治大教授(都市計画学)は「防犯のために通学路の危険箇所探しなどばかりすると、住民に不安や不信感が高まることもある」と指摘する。「遊び心のある行事は、地域の住民と保護者や子供が信頼関係を結ぶ良いきっかけになる。子供が楽しみ、大人も役に立つと感じれば長続きする」と期待を込めている。(SANKEI EXPRESS)