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絆裂く同性婚 姉妹大げんか チェイニー前副大統領一家の葛藤
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米国の前副大統領で共和党の重鎮、ディック・チェイニー氏(72)の2人の娘が同性婚をめぐり激しく対立し、公開で大げんかを繰り広げる事態となっている。同性婚をした次女に関して、来年の上院選出馬を目指す長女がテレビ番組で同性婚を否定する発言をしたのがきっかけ。共和党支持の保守層には同性婚への反発が根強いことが背景にあるようだ。次女のために同性婚を認める立場にになった父親は、家族の絆を引き裂く事態に、「心が痛む」と苦悩している。
米国では今年6月に同性婚カップルの法的権利を認める連邦最高裁判決が出された。だが、その是非をめぐり国論はなお二分しており、チェイニー家の亀裂は米国の縮図でもある。
「私は従来通りの結婚の定義を信奉している」。長女リズさん(47)がこう発言したのは11月17日に放送されたFOXテレビの朝の情報番組でのこと。
リズさんは、ワイオミング州での連邦上院選出馬を目指し共和党の予備選挙への挑戦を表明している。一方、次女のメアリーさん(44)は同性愛者であることを公言し、昨年パートナーの女性と結婚。チェイニー氏がこれを認め物議を醸した。
番組で、キャスターから妹の同性婚について聞かれたリズさんは、「妹も、その家族も、とても愛しているが、同性婚の是非は私たちの意見が一致しない問題の一つ」と語った。
この番組をパートナーのヘザー・ポーさんと自宅で見ていたメアリーさんは激怒。「リズ、これは単に私たちの意見が一致しない問題の一つではなく、あなたが間違っているだけ。あなたは歴史の中の間違った側にいる」と、交流サイトのフェイスブックに書き込んだ。
ポーさんも「メアリーと結婚したとき、何のためらいもなく大いに喜んでくれた。なのに今頃、私たちの結婚を支持しないって言うなんて、控えめに言っても失礼だわ」と、激しく非難した。
さらにメアリーさんは米紙ニューヨーク・タイムズの電話取材に「これまで私と姉は(同性婚容認の)父の考えを踏襲(とうしゅう)し、姉は私たちの結婚を常に支持してくれた。でも、出馬表明を機に反対の立場をとるようになった」と指摘。「考えを変えない限り、私たち姉妹の関係修復は不可能だ」と言い切った。
これに対し、両親のチェイニー夫妻は「これは家庭内の長年の問題。公になるのは心が痛む」との声明を発表。チェイニー氏は「リズさんの考えは昔から変わっていない」とし、妹の同性婚をめぐって、共和党の対立候補から攻撃されているリズさんをかばった。
実際、保守的なワイオミング州では同性婚への反発が根強く、リズさんはただでさえ強い4選を目指す現職マイク・エンジ議員(69)を相手に苦戦を強いられており、「予備選を勝ち上がるのは難しい」との世論調査が出ている。
「両親は努めて平静を装っているが、とても辛い立場にいる」と、メアリーさんも板挟みになっている両親の気持ちをおもんばかった。
連邦最高裁判決を契機に多くの同性婚カップルが誕生しているが、家族の葛藤はなお残る。誰はばかることなく心から祝福してもらえるようになるにはまだ時間がかかりそうだ。(SANKEI EXPRESS)