日ＡＳＥＡＮ外交筋が明らかにした。ＡＳＥＡＮは一部加盟国が南シナ海の領有権をめぐり中国と対立。中国は南シナ海にも防空識別圏設定の意向を表明しており、日本は「海と空の安保」でＡＳＥＡＮと首脳レベルで認識を共有、米国などとともに対中牽制（けんせい）を強めたい考えだ。

　ただ、ＡＳＥＡＮ内には経済関係の深い中国を過度に刺激したくないとの意識も強い。日本が作成した声明案だが、防空識別圏をめぐっては日本の思惑通りのメッセージが出せるかどうかは不透明だ。

　共同声明は「日・ＡＳＥＡＮ双方が直面する地域的、世界的な課題について共通の立場を確認する」（外交筋）のが狙い。声明案では「公海上空の飛行の自由」の重要性を指摘し「国際民間航空に関わる（力の）乱用」が安保全般に対する「脅威」だと強調している。

　名指しはしないものの中国を念頭にした文言で、外交筋によると、日本は中国の防空識別圏設定を受け、声明案に飛行の自由に関する記述を追加するようＡＳＥＡＮ側に要求した。

　声明案は国際民間航空機関（ＩＣＡＯ）などの場で協力を強化していくことも明記。海上安保については、航行の自由や国際法に沿った平和的方法による紛争解決などを強調した。

　特別首脳会議では共同声明のほかに、日本とＡＳＥＡＮの中長期的な友好協力のビジョンを示す文書も発表する。（共同／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　■日ＡＳＥＡＮ特別首脳会議　日本政府が東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）１０カ国首脳を東京に招き１３～１５日に開く国際会議。今年が日ＡＳＥＡＮ交流開始４０周年に当たることを記念し、開催する。日本とブルネイが共同議長を務める。２００３年１２月にも開かれており、今回で２回目。今回は安倍晋三首相が会期中に各首脳と会談し、中国の動向を含む地域情勢について意見交換する。（共同／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　【日ＡＳＥＡＮ声明案骨子】

・海上安全保障、航行の自由、国連海洋法条約など国際法に従った平和的方法による紛争の解決を促進

・国際法で認められた公海上空の飛行の自由の重要性を強調

・国際民間航空の発展は、世界の国々や人々の有効と理解に大きく役立つ。だが（力の）乱用は安保全般に対する脅威となりかねない

・国際民間航空機関（ＩＣＡＯ）など国際的な場での協力を強化