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内閣支持率50%割る 景気期待も後退 産経新聞社・FNN世論調査
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中小企業経営者との意見交換会に出席した安部晋三(しんぞう)首相(右)。世論調査でアベノミクスへの期待値が低下する中、中小企業を対象にした支援策の拡充に全力で取り組む考えを示した=2013年12月16日午後、首相官邸(宮崎裕士撮影) ≪秘密保護法成立「良くない」66%≫
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が12月14、15の両日に実施した合同世論調査で、安倍晋三内閣の支持率が前回調査(11月16、17両日)より9.3ポイント減の47.4%となった。第2次安倍政権が発足して初めて5割を下回った。不支持は13.4ポイント増の38.7%だった。特定秘密保護法の臨時国会成立を「良かったと思わない」とする回答が66.2%に達し、特定秘密保護法への対応が影響したようだ。
特定秘密保護法に関しては「必要だと思う」が50.5%と半数を占め、「思わない」(42.7%)を上回った。だが、臨時国会での成立を「良かった」としたのは27.3%。「政府に都合の悪い情報が隠蔽(いんぺい)される恐れがある」との回答は85.2%に上った。
来年4月に消費税率を8%に引き上げる政府方針については「支持する」(49.8%)と「支持しない」(47.6%)が拮抗(きっこう)。2015年10月に予定される10%への引き上げは「反対」が66.4%を占めた。
消費税率引き上げの際に食料品などの税率を低く抑える軽減税率を「導入すべきだ」との回答は76.4%だった。導入時期は「消費税率10%引き上げと同時」が60.7%に達した。
中国が設定した防空識別圏を「脅威」と答えたのは「非常に」と「ある程度」を合わせて87.4%。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の沖縄県名護市辺野古への移設方針については「支持する」(52.1%)が「支持しない」(36.1%)を上回った。
≪内閣支持率50%割る 景気期待も後退≫
産経新聞社とFNNの合同世論調査で、安倍晋三内閣の支持率が9.3ポイントも下落した。特定秘密保護法の成立を急いだことが引き金とみられるが、景気回復が実感できない中でこれまで高支持率を支えてきた経済政策「アベノミクス」への期待値が急速に低下したことも影響している。
「映画監督が映画を作れなくなるとか、オスプレイをスマホで撮ってメールすると逮捕されるとか…。あり得ないことが報道されていることが大きく影響している」
菅義偉(すが・よしひで)官房長官(65)は12月16日の記者会見で、内閣支持率が急落したことに関し、特定秘密保護法への国民の懸念が影響を与えたとの認識を示し、マスコミの報道ぶりを批判した。
ただ支持率低下の原因はそればかりではない。首相が政権運営の一枚看板に据えてきたアベノミクスの期待値も低くなっているのだ。世論調査では、景気回復について「期待できない」が55.6%と初めて過半数に達した。4月には65.5%もあった「期待できる」との回答は次第に低下し、11月の前回調査で「期待できない」が逆転。今回は、さらに差が拡大した。
背景には、賃上げやボーナスのアップといった目に見える現象が一部の大企業に限られている点がある。さらに来年4月に消費税率の8%への引き上げが控える中、いよいよアベノミクスの真価が問われる1年となるのは間違いない。
それでも首相は意気軒高だ。消費税増税に伴う景気の腰折れ回避のための補正予算案をまとめ、来年6月をめどに新たな成長戦略の策定も検討している。
「皆さんの意欲が必ず、必ず、全国に広がっていく。それが景気の好循環に入る大きな起爆力になる」
首相は16日、いずれも創意工夫による業績好転で従業員の賃上げを達成した中小企業経営者6人を官邸に招き、アベノミクスの波及効果をアピールした。
世論調査では、景気回復への不満はあっても、いま首相にふさわしいのは誰かの設問は安倍首相が64.9%とひとり勝ちだ。首相は特定秘密法成立後も各報道機関の世論調査で内閣支持率が50%前後あることについて、周囲にこう自信を示した。
「たいしたことない。数字が落ちたって元に戻せばいい」(SANKEI EXPRESS)