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政治
【猪瀬知事5000万円受領問題】「百条委」設置へ 猪瀬知事窮地に
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5000万円受領問題で答弁する、猪瀬直樹知事=2013年12月17日、東京都新宿区(寺河内美奈撮影) 東京都議会総務委員会が12月17日開かれ、猪瀬直樹知事(67)が徳洲会(とくしゅうかい)側から5000万円を受け取った問題をめぐる審議が行われた。総務委は「猪瀬氏の説明が二転三転して信用できない。これ以上続けても意味がない」として審議を打ち切った。都議会側は地方自治法に基づき、偽証や証言拒否に罰則が科される「百条委員会」を設置する方針で、早ければ24日にも審議が行われる見通し。
都議会が知事の問題で百条委を設置するのは異例で、猪瀬氏は一層厳しい立場に追い込まれそうだ。
総務委には、民主、みんな、都議会みんな、自民の4会派が質問に立った。
猪瀬氏はこの日も、徳田毅衆院議員(42)から5000万円授受の約束の電話を受けた場所、現金受領後に立ち寄った事務所での5000万円の置き場所などで従来と異なる説明をした。
これまで計4日間約20時間にわたって総務委が開かれたが、説明が変遷したり質疑がかみ合わなかったりした。最後に質問に立った自民も「やってられない」と質疑に入らず、総務委理事会の開催を要求。理事会は総務委を閉会し、各会派が百条委の設置を求めることで一致。
18日に開かれる議会運営委員会で最終調整し、その後に開かれる臨時議会で百条委設置が決まる見通し。
ある会派幹部は「都政を停滞させず、五輪にも影響させないつもりだったが、審議で次々と問題点が出てきた。『決着が重要』という総務委の判断を重く受け止めたい」と話した。
≪説明二転三転、都議会総務委「続けても意味ない」≫
「答弁が二転三転している状況で、総務委員会ではらちが明かない」。猪瀬知事の5000万円受領問題をめぐって12月17日、都議会が強い調査権限を持つ百条委員会設置に舵を切った。同じような質問が堂々巡りするなか、攻め手に欠け、窮余の一策との見方も出ている。一方の猪瀬氏は説明の食い違いや訂正は相次いだものの、「選挙資金ではなく個人の借り入れ」などとする疑惑の根幹部分は変わっていない。議会の切り札が、知事を切り崩せるか。第2ラウンドは来週に持ち越された。
「ここ数日の質疑はひどい。一定の拘束力がある形の中でやらなければならない。総務委では限界だろう」
この日の総務委終了後、ある都議はこう漏らした。また、総務委で質問に立った別の都議は「答弁には偽証罪に問えるところがあった」と語り、証言拒否や偽証に対し、罰則や告発の定めがある百条委での追及に自信を見せる。
すでに集中審議に相当な時間を費やしてきた中で、同じ質問の繰り返しが目立ってきたのも事実だ。議会側は「答弁が変わるごとに改めて聞き直さないといけない」とするが、庁内中継をみていた都職員は「正直飽きてきた」とつぶやいた。
都議のひとりは「“レームダック(死に体)”で扱いやすい知事として続けさせたい気持ちもあるが、世間の批判は強い」と明かし、「『都議会は何をしているんだ』と批判の矛先がこちらに向かってしまう恐れもある」と局面が打開できない焦りもにじませた。
関係者によると、総務委理事会では全員が百条委設置に賛成。各会派からも異論はなく、20日の臨時議会で委員を決定、早ければ24日から、追及のレベルは一段上がることになる。
「20時間も総務委で審議したからね。定例会見を開きますから」
百条委設置を打ち出した17日の総務委終了後、猪瀬氏は追いすがる報道陣に言葉少なに告げ、都議会をあとにした。退庁時には車寄せのある都庁舎2階に姿を見せなかった。
総務委での集中審議はこの日まで計4期日にわたった。猪瀬氏側は銀行側から聞き取った貸金庫の入出庫記録や公用車の運行記録など、厚さ2センチ以上のA4判資料を提出した。今月(12月)9、10日の委員会では汗を滴らせ、落ち着かない様子も目立ったが、週が明けた16、17日には開き直ったような表情。答弁慣れからか、重複する質問にはうんざりするように応じ、資金提供と選挙を結びつけようとする質問には、「無理に(関連を)見つけようとしても無理」と答えるなど、余裕ものぞかせていた。
猪瀬氏周辺は16日の総務委を前に、「かなり詳細な資料を用意し、できるだけ詳しく正確に質問に答えようとしている」と明かしていた。確かに、答弁の訂正や食い違いもあったが、偽証とまで判断できるかどうかは微妙だ。このため、百条委では「選挙資金ではなく個人の借入金」「徳洲会(とくしゅうかい)側からの請託やそれに対する便宜供与はなかった」という釈明を堅持しつつ、より慎重な答弁に臨むことになりそうだ。
ただ、偽証や証言拒否で告発するかどうかは百条委が決めることになる。猪瀬氏はこれまで以上に、窮地に追い込まれたことは間違いない。(SANKEI EXPRESS)